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【INTERVIEW】ポルトガル発キッズブランド[WOLF & RITA]インタビュー|“ポルトガル国内ですべての工程を行うことへのこだわりと誇り“

そのデザインとクオリティの高さで、2013秋冬コレクションでのブランドデビュー直後からヨーロッパを中心に注目を集めてきたポルトガル発のキッズブランド・WOLF & RITA(ウルフ アンド リタ)。日本でも2015春夏コレクションからデリバリーがスタートして以来、ファッション感度の高いママを中心に確実な支持を集めるインポートキッズブランドとなっています。

そんなWOLF & RITAの運営チームの3人、Sónia Rocha(ソニア ローシャ)さんとその夫・Carlos Lobo(カルロス ロボ)さん、ソニアさんの妹・Cláudia Rocha(クラウディア ローシャ)さんが、ソニアさん&カルロスさんのお子さん二人も伴って先日揃って来日。COCOmag編集部では、この3人にブランドスタートの頃のこと、コレクションテーマやデザインのことなどを、インタビューしてきました。


後列左からSónia Rocha(ソニア ローシャ)さん、Cláudia Rocha(クラウディア ローシャ)さん、Carlos Lobo(カルロス ロボ)さん、前列左からAfonso(アフォンソ)くん、Rita(リタ)ちゃん。今回の来日ではインタビューなどプレス対応のほか、都内の WOLF & RITA 取り扱いショップを訪問したり、都内観光も楽しまれたそう。
 
 
COCOmag___ようこそ日本へ。そして今日はお時間をいただいて、本当にありがとうございます。まずは御三人がブランド内でそれぞれ担当していらっしゃることと、ブランドを始めることになったきっかけを教えて下さい。
 
 
ソニアさん___私はWOLF & RITA の全体的なマネージメントを担当、妹のクラウディアは主に服のデザインを、そして夫のカルロスは服のデザイン以外のクリエイティブな部分を担当しているの。

もともと私とクラウディアの父親がポルトガルでシャツメーカーを経営していて、企業として何か新しい事業を起こしたいと考えたときに、子供服ならポルトガルから世界に向けていろんなアイデアを提案できるかもしれないと考え始めたのがブランドをスタートさせたきっかけね。

父親の経営しているシャツメーカーは30年以上の歴史を持っているんだけど、子供サイズのシャツを作っていたこともあったし、その歴史の中で培ってきたもの作りのノウハウは、WOLF & RITA にも引き継がれていると思うわ。
 
 
COCOmag___特徴的なブランド名には、どんな由来があるのですか?
 
 
ソニアさん___ブランド名についてはよく尋ねられるんだけど(笑)、カルロスの名前の“Lobo”を英語に訳した“Wolf”と、モデルとしてルックブックにも登場する私たちの娘の名前の“Rita”、そのふたつを組み合わせた、ポルトガル語と英語をミックスしたものなのよ。
 
 
COCOmag___なるほど、“Rita”が女の子の名前ということは想像できていたのですが、それに組み合わされるのがなぜ“Wolf”なのか、個人的にも不思議に思っていたんです(笑)。でもキュートな要素とクールな要素をミックスしたような、ブランドの雰囲気にはピッタリの名前ですね。

デザイン面では、クラウディアさんが服のデザイン、カルロスさんがそのほかのクリエイティブな部分を担当とのことですが、その役割分担はどのようになっているんですか?
 
 
クラウディアさん___私はもともと、ファッションを専門的に学んだ上で大人のアパレルデザインを手掛けていたこともあったの。ソニアが言ったように父親のシャツメーカーがキッズブランドを立ち上げることになって、そこにタイミングを合わせて参加した形ね。今までの WOLF & RITA のコレクションは、基本的にすべて私がデザインを手掛けているのよ。
 
 
COCOmag___大きなフリルを使ったデザインは WOLF & RITA の中でも特にアイコニックなデザインだと思うのですが、あのデザインが生まれたきっかけは?
 
 
クラウディアさん___あれは2014年の春夏コレクションで初めて形にしたものだったんだけど、実は私が大きなフリルが大好きだっていうシンプルな理由でデザインしてみたものだったの(笑)。

本当は1シーズンで終わらせるつもりだったんだけど、多くのバイヤーから「あの大きなフリルのアイテムはもう作らないの?」って尋ねられるようになって。そんなに待ってくれている人たちがいるのなら…と続けて作るようになって、今では大きな襟のデザインと並んでブランドを代表するデザインアイコンになっているわね。

上から順に、2015春夏、2015秋冬、2016春夏、2016秋冬、2017春夏、そして2017秋冬コレクションから、WOLF & RITA の特徴的なデザインのアイテムをピックアップ。襟を大きめにデザインしたり、二重に重ねたり。または大振りなフリルを肩や胸もとにあしらったり。ファンの要望で復活し定着した、WOLF & RITA のアイテムを代表するデザインディテールです。
 
 
COCOmag___では、カルロスさんはブランド内のどんな部分でのクリエイティブを担当されているんですか?
 
 
カルロスさん___私はもともと写真家として活動していて、今でも撮影のために世界を回ったり、大学で写真について教鞭を執ったりもしているんだ。だからブランドデビューの頃からルックブックやオフィシャルのビジュアルは私が撮影していて…実の子供でもあるこの二人のモデルも、ずっと私が撮影しているんだよ(笑)。
 
 
COCOmag___今日初めてお会いしたときから、二人のお子さんが毎シーズンモデルとして登場している男の子と女の子だって、すぐに分かりました(笑)。二人は兄妹だったんですね。

インタビューを行った都内ホテルのロビーでカルロスさんが撮影した、アフォンソくんとリタちゃん。ちょっと席を外されたかな?くらいの短時間で撮影されたものなのですが、光の加減などはさすが写真家です。
 
 
カルロスさん___撮影以外には、シーズンごとのコレクションテーマを決める際のアイデアや、コレクション撮影の際のビジュアルイメージも、私が彼女たちにアイデアを提案した上で練り込んでいくことが多いね。
 
 
COCOmag___毎シーズンのコレクションテーマには、さまざまなジャンルや時代のアーティスト、ムーブメントなどが登場しますよね。

例えば最新の2017秋冬コレクションでは、アメリカのコンセプチュアルアーティスト・ジョン=バルデッサリ、ブラジル出身のアーティスト・エデゥアルド=デ=マトス、日本人写真家・植田正治の名前が挙がっていましたし、日本でのデリバリーがスタートした2015春夏コレクションではボサノヴァの名曲「The Girl from Ipanema」も挙がっていました。

シーズンごとにアーティストたちをピックアップしたり、またそこからインスピレーションを得てイメージを膨らませる作業は、具体的にどんな方法で進めているんですか?
 
 
カルロスさん___私は写真家ということもあって、職業柄いろんな分野のアートを見たり、聞いたりすることを日常的に行なっているんだ。その時々で気になるアーティストやアートのジャンルは変化するんだけど、次のシーズンのコレクションテーマを考えるタイミングと、その時に私の心の中で引っ掛かっているアーティストやそのムーブメントが交差したときに、コレクションのイメージが膨らみだす、といった感じかな。

ルールとして決めているのは、前後のシーズンでコレクションテーマをガラリと変えること、連続性を持たせないようにしていることで、それ以外は自由に発想を膨らませて、彼女たちの意見や感想も踏まえてさらにブラッシュアップしてテーマを決め込んでいるんだよ。
 
 
COCOmag___なるほど、カルロスさんの頭の中で膨らんだイメージが、WOLF & RITA の3人の中で共有されさらにミックスされて、そのシーズンのコレクションのビジュアルに反映されたり、さらにクラウディアさんの手を経てアイテムのデザインやディテールに落とし込まれているわけですね。

もうひとつお聞きしたいのですが、今までのコレクションテーマとしてピックアップされてきたのは、古い時代の画家や彫刻家、写真家、音楽家、または数十年前のムーブメントばかりですよね。私自身も WOLF & RITA のコレクション資料から初めて知るアーティストの名前が多いのですが、それは敢えて古い時代からピックアップしているんですか? ’80年代以降も偉大なアーティストは誕生していますし、いろんなムーブメントが起こってきたと思うのですが。
 
 
カルロスさん___確かに近年にも偉大なアーティストは多いし、いろんなムーブメントが起こってきたとは思うけれど…’80年代以降のあらゆるジャンルのアートは、’70年代以前のアーティストたちのオリジナルな世界観に影響を受けた上で形造られたものなんじゃないかと思うんだ。
 
 
COCOmag___今の時代は本当のオリジナリティは無くて、過去の優れた部分を新しく組み立て直したものが多い、とはよく言われますよね。特にアートやデザインに関するジャンルでは。
 
 
カルロスさん___そう、現代ではアートやデザインに関するアイデアやオリジナリティは、もう出尽くしてしまっているのではないかと私自身も思う。それを否定するつもりはないし、組み合わせ方の新しさに興味を惹かれるものもたくさんあるのも事実だけど、それに影響を受けてアイデアやイメージを作ってしまうと、もともとのオリジナルなものが持っていた意味合いはかなり薄れてしまうことになると思うんだ。

私が古い時代のアーティストたちに惹かれるのは、彼らがいろんな意味でのオリジネーターだからで、そんな彼らや、彼らが起こしたオリジナリティの高いムーブメントからのインスピレーションを、また違う形で WOLF & RITA に反映させたいと常に考えているんだよ。
 
 
COCOmag___同じことは、服のデザインにも言えますよね。大人でも子供でも、独創的な世界観のブランドは少しずつ減ってきているように感じますし、ここ数年はベーシックでデイリーなものが持てはやされた傾向もあって、デザインやそこから生み出される世界観の自由度は減って来ているようにも思いますが。
 
 
クラウディアさん___確かに、アートや音楽の分野と同じように、ファッションの分野でも本当のオリジナリティは失われつつあるのかもしれないわね。

ただ私が常に意識しているのは、子供たちが自由に振る舞える服であること、その上でブランドとしての個性をどう表現するのかというバランスが大切だということね。

私たちが手掛けるのは子供服だから、子供たちが着心地の悪さを感じてしまったり、体を動かしにくいと思ってしまうようなものではダメなの。それをまず第一にクリアしつつ、WOLF & RITA らしい、人の目に留まるデザインの子供服を作りたいといつも考えているのわ。

ただ、人の目に留まると言っても奇抜すぎるものはそれを好きになってくれる層も限られてしまうから、ビジネス的にも続けていくことが難しくなるわけで(笑)、多くのママ・パパの目に留まってその子供たちに袖を通してもらえるデザインと、ブランドとしてだけではなくそれを身に着けた子供たちの個性も発揮できるようなデザイン、そのちょうどいいバランスをシーズンごとに探っているような感じね。
 
 
COCOmag___なるほど、個人的には WOLF & RITA のデザインは対比性を持っているというか、一見は相反するようなものが同じシーズンのコレクションの中に同居しているようにいつも思うんです。

例えば、同じシーズンの中に鮮やかな色使いの総柄アイテムがあったかと思えば、その一方で上質な生地感の無地のアイテムがあったり。さらにその無地のアイテムには、先ほども話題に出た大きなフリルをあしらったりして、色使いはシンプルなのにとてもユニークなデザインに仕上がっていたりして。

そんなメリハリのあるデザインやコレクションは、侘び寂び(わびさび)を愛する一方で絢爛豪華な色使いや装飾も好む、日本人のメンタリティとの相性がすごく良いように感じています。

こちらは2017秋冬コレクションのスタイリング。目を引くカラフルな総柄アイテムが用意される一方で、ディテールやシルエットを引き立たせる無地のアイテムもラインナップされる、そんな対比性がより濃く表現されたコレクションでした。
 
 
クラウディアさん___そうね、デザインを考えるときには子供っぽいディテールや要素はあえて入れないようにしているし、言ってみれば子供服なのに大人っぽい世界観というか、どこか哲学性を持ったブランドでありたいと思っているところはあるわね。それがさっきあなたも例に挙げた、無地なのにディテールに凝ったデザインのアイテムだったり、グラフィカルな総柄生地で敢えてベーシックなシャツを仕立ててみたりっていうところに現れているのかもしれない。

私も日本の文化に興味を持っていて、特にファッションの分野については大人も子供もそれぞれに独自性の強いブランドやスタイルが多いわよね。とてもユニークで目を引くものもあれば、シンプルなモノトーンの世界観のブランドもあったりして。

そんな日本のファッション環境の中で WOLF & RITA が支持を得ているのは嬉しいし、実際にモノトーンのアイテムは毎シーズン日本でも人気があるから、あなたの指摘はとても興味深いわね。
 
 
COCOmag___少しでも今後の参考になればいいのですが(笑)。では、そろそろ最後の質問になってしまうのですが…WOLF & RITA として、今後の抱負や予定をお聞きできますか?
 
 
ソニアさん___私たちは“ポルトガル発のキッズブランド”という部分にこだわりと誇りを持っているの。

私たちが拠点を置いているポルトガルのギマランイスという都市には、生地メーカーや縫製工場が数多くあって、ヨーローッパの中でも高い技術力を持っているから、世界的に有名なブランドやメーカーからの依頼も多いのよ。そんなギマランイスでデザインから生産までを行なって、すべての工程に目を行き届かせることで、高いクオリティを保つことを実践しているの。そしてそれは、ギマランイスの職人たちの技術や雇用を守ることもなっているのよ。

ここ数シーズンは良いバランスでブランドを運営できていると感じていて、ブランドをスタートした頃から考えると、とても良い状態になっていると実感しているわ。だから、これからもブランドとしての世界観をキープしながら、ポルトガル国内の技術力や生産力に誇りを持ちながら、世界中に WOLF & RITA のアイテムを届けていきたいわね。
 
 
クラウディアさん___そうね、「毎シーズンのテーマにアートが絡んでいて面白い」とか、「あの襟の大きな服」とか「大きなフリルのデザイン」とか(笑)。そんな「WOLF & RITA と言えば…」という代名詞みたいなイメージを世界中のみんなに持ってもらえるように、ブランドの世界観やイメージをもっともっと突き詰めていきたいと思うわ。
 
 
カルロスさん___日本でのデリバリーが始まった直後から WOLF & RITA が日本のママやパパに支持してもらえていることは、とても嬉しいと感じているんだ。

日本はもの作りのクオリティが世界的に見ても高いし、オリジナリティ溢れるブランドもたくさんある。それを見慣れている人たちに評価してもらえることは、私たちにとって自信にも繋がるし、特にヨーロッパ以外の地域で高い評価をしてもらえるのは、ブランドとして本当に嬉しい。

ソニアが言ったように、今ブランドとしてはとても良いバランスで運営できていると私も感じているから、急成長を目指したりしてこのバランスを崩したりすることが無いように(笑)、着実に進んでいけたらと思うね。
 
 
COCOmag___あっという間にインタビュー時間の終わりがきてしまいましたが、日本の WOLF & RITA のファンが知りたかったことをいろいろとお聞かせいただけたと思います。これからのコレクションも、本当に期待しています。今日はお時間をいただいて、本当にありがとうございました。
 



最後を締めくくるのは…この二人。とても人懐こくてキュートな、アフォンソくんとリタちゃん。インタビュー中も、大人たちが話し込んでいる横でお行儀よく待っていてくれました。今回の日本滞在では、念願だったジブリ博物館にも足を運べたそう。また来シーズン、WOLF & RITA のモデルとしての姿を見るのが今から楽しみです。
 
(取材・文/COCOmag編集部・柳原)

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