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【INTERVIEW】キッズバッグブランド[decorate]飯田夏樹さん_「何事にも素直な子供たちが心から“良き相棒”だと思ってくれる、そんなバッグを送り出したい」

スクエアなシルエットの中に、可愛くカッコいいディテールと機能性を盛り込んだデザインのキッズ用バックパックを手掛けるブランド・decorate(デコレート)

バックパックのほかにもメッセンジャーバッグやトートバッグ、雑貨など子供たちの日常に寄り添うアイテムをラインナップし、最新の2018年コレクションでブランドデビュー10周年を迎えます。

そんなdecorateのアイテムデザインを手掛ける飯田さんを今回インタビュー。大手子供服メーカーからの独立や、その後の歩み、そしてキッズ用バッグのデザインに込めた思いなどをお聞きしてきました。


 
 

『右も左もわからずにデザインした、初めてのキッズ用バックパック』

 
COCOmag___decorateはブランドデビューから10周年とのことなのですが、実は飯田さんが前職にいらっしゃったときに、私も前職の子供服雑誌の編集部員としてお目にかかっていたかもしれないんですよね。
 
 
decorate・飯田夏樹さん(以下、飯田さん)___そうなんですよね、decorateをスタートさせる前は子供服メーカーのリトルアンデルセンに在籍していたので、ひょっとしたら展示会などでお目にかかっていたかもしれません(笑)。
 
 
COCOmag___その前職では、リトルアンデルセンが手掛けていた幾つかのキッズブランドのうちのひとつのご担当だったとお聞きしましたが、そこからどんな経緯でdecorateをスタートさせることになったんでしょうか?
 
 
飯田さん___もともとは子供服とはまったく違う業界で働いていたんですけど、転職を考えていた時期にふと目にした求人広告がリトルアンデルセンのもので、応募してみたら採用してもらえることになって。

初めは物流・流通部門に配属されて、そこで6年くらいかな? できあがってきた商品をチェックしたり、全国のショップに発送したりという物の流れ、商品ができあがってからどんな過程を経てお客様のもとに届けられるのかを学んだんです。

その後、配置転換でとあるブランドの営業担当になって、今度は全国のショップさんや百貨店さんとやり取りしながら営業的なことを学びつつ、そのブランド内で立ち上げた雑貨・小物ラインも担当することになって。そのラインナップとしてバックパックを作り始めたのが、キッズ用バッグとの関わりのスタートでしたね。
 
 
COCOmag___まだその頃は、リトルアンデルセンに在籍していらっしゃったんですよね?
 
 
飯田さん___ええ、子供服ブランドの営業担当をこなしながら、雑貨・小物ライン全体も担当して、という感じで。ただ、デザイナー以外のスタッフは僕だけという小規模なチームだったので、なぜか僕がバックパックをデザインすることになって…。
 
 
COCOmag___バッグのデザインについては、どこかで学んでらっしゃったんですか?
 
 
飯田さん___いえいえ、まったく(笑)。なので、デザイン用のパソコンソフトも初めて触るし、いったい何から始めればいいのか、もう右も左も分からないような状態で。

幸い社内にはほかのブランドのデザイナーや生産担当の先輩方がいたので、分からないことはとにかく質問攻めにして教えてもらったり、素材の手配や縫製・製造は社外の業者の方々に手取り足取り教えてもらったりして、どうにかこうにかバックパックを2型、チアガールをイメージした女の子向けモデルとロボットをイメージした男の子向けモデルを作ったのが、初めて手掛けたキッズ用のバッグでした。



飯田さんがバッグのデザインするようになってから愛用しているというのが、こちらの道具たち。中でも曲線に沿って長さを測ることができる「自在曲線定規」は、立体的なプロダクトを作る際の必需品なのだとか。
 
 
COCOmag___なんだかサラッと聞いちゃいましたけど(笑)、それってかなり大変なことだったんじゃないですか? まったく経験のないデザイン作業をしないといけない状況というのは。
 
 
飯田さん___ですね、今ではサラッといえますけど、相当に大変でした(笑)。でもそのぶん、その2型のバックパックが製品としてできあがったときは、本当に嬉しかったですね。ただ、その後そのブランドはクローズすることになってしまったんです。
 
 
COCOmag___いくつもブランドを運営しているメーカーだと、仕方のないことなのかもしれませんね。
 
 
飯田さん___残念ですけど、そうでしたね。その時点でキッズ用のバックパックも作り続けることはできなくなってしまったんですけど…そのブランドクローズに伴う業務を進めている中で「自分で会社を立ち上げて、このキッズ用バッグを継続できないのかな?」と考えるようになったんです。
 
 
COCOmag___それはやっぱり、個人的な思い入れの部分とか、悔しい気持ちとかから?
 
 
飯田さん___うーん…そういう気持ちもあったかもしれませんね。そこから仕事以外のプライベートの時間を使って約一年くらい、事業計画を立てたり資金的なことを調べたりして。そしていよいよブランドが終了となって最後の社内会議のときに「自分が退職して立ち上げる会社にキッズ用バッグの事業を譲渡してもらえないか」と事業計画書を添えて提案したんです。

当時の役員の方々は、まさか僕がそんな提案をするとは思ってもみなかったらしくて随分驚かれていたんですけど、結果的には僕の考えに賛同してくださって、独立するにあたってのいろんな面でサポートまでしてくださって。
 
 
COCOmag___じゃあ、かなり円満に話が進んで独立という流れになったわけですね。
 
 
飯田さん___はい、約13年勤めたリトルアンデルセンを退社して、株式会社ナビリティを立ち上げたのが2008年9月でした。

退社・独立と同時に事業譲渡というのは当時の社内的にも初めてのケースだったんですけど、今から思えばよくあんなにスムーズに、そしてサポートまでしていただいて独立できたなと思いますね。だからそのご恩に報いる意味でも、このdecorateというブランドを続けていかないといけないなと常に思っています。




デビューコレクションから、10周年となる2018コレクションまでのカタログがこちら。ハガキに似た約10☓15cmの体裁は、デビューシーズンから変わらず。コンパクトなサイズの中に、最新モデルを身に着けたキッズモデルたちの姿が収められています。
 
 
 

『子供たちを“子供扱い”しない、今はそんな本格思考のデザインが必要なはず』

 
COCOmag___会社を立ち上げてからは、すぐに新しいコレクションを発表されたんですか?
 
 
飯田さん___準備期間も必要だったので、decorateとしてのファーストコレクションを発表できたのは会社設立の翌年、2009年の2月でした。

ファーストコレクションとしては5型作ったんですけど、その中でも本当の一番目、品番「001」なのが、この「First(ファースト)」というモデルです。





decorateのファーストコレクション、その中でも品番001としてデザインされた「First」。メタリックな質感のファブリックやスタッズなど、今のdecorateとは少し雰囲気が違うデザインです。
 
 
COCOmag___ボックス型の基本デザインは前のブランドから引き継がれたわけですけど、ディテールとか素材感とか、ここ数シーズンのコレクションと比べると少しテイストが違いますよね。
 
 
飯田さん___decorateのバックパックの基本デザインは変わらないんですけど、実はデビューから今までの間に数回、機能的な部分でマイナーチェンジを行っているんです。

子供が背負ったときに背中に当たるパッドの部分の材質を見直したりとか、子供たちが使う上で不便な部分を改良する上での機能的な面のマイナーチェンジなんですけど、その結果デビューコレクションのモデルに比べると、今のモデルは使い勝手や背負心地も向上しているとは思います。





背中に当たるパッド部分や本体の底には厚めのスポンジ材を使用したり、ショルダーベルトにはスポンジ材&丈夫なナイロン生地を採用するなど、アウトドアブランドにもひけをとらない丈夫な作りも、decorateバックパックのポイントになっています。
 
 
COCOmag___実は見えない部分で、基本デザインのブラッシュアップも行われていたんですね。
 
 
飯田さん___そんな変化に合わせてというわけでは無いんですけど、デザイン面もこの10年間で徐々に変化してきましたね。デビューシーズンからこれまでのモデルをあらためて見返してみると、ブランドスタートの頃は今に比べてちょっと“甘い”というか、子供っぽいデザインのものが多かったように思いますね。子供たちのことを意識しているというか、子供たちにウケようとしているというか(笑)。
 
 
COCOmag___子供たちを子供扱いしているというか、子供たちの世界にこちらから擦り寄っていこうとしている、みたいな感じでしょうか?(笑)
 
 
飯田さん___ええ、そうだったのかもしれませんね。でも、そこからの10年で、デザインのテイストや方向性はかなり変わってきたと思います。

実際にdecorateのバッグを使ってくれるのは子供たちなので、その子たち自身が気に入ってくれること、相棒のように毎日一緒にいたいと思ってくれることが、ブランドスタートの頃から変わらない基本的な部分ではあるんです。

だからデザインの参考としてゲームやアニメ、映画、オモチャなど子供たちの間で今何が流行っているのかは常に気にしていて、毎週日曜日の午前中に放送されている子供向けアニメやヒーロー番組は、この10年間欠かさず観ているんですよ。観続けているうちに、楽しくなって自分がハマってしまっているところもありますけど(笑)。
 
 
COCOmag___たしかに、仮面ライダーシリーズとか戦隊モノ、かなりお詳しいですよね(笑)。
 
 
飯田さん___イベントとかで自分が店頭に立つときは、それをきっかけに子供たちと仲良くなろうとしたりもしていますしね(笑)。

でも、それはあくまでも参考にするさまざまな情報の中の一部で、デザイン面では逆に子供を子供扱いしないもの、むしろ大人目線でも欲しいと思えるものを作ろうと意識するようになりましたね。

子供関連のアイテムを購入するときに、親御さんたちがいかにも子供っぽいデザインのものには手を伸ばさなくなってきましたし、子供服マーケット全体のトレンドもそれに合わせて変化してきたこともありますけど、スパイスを効かせた大人っぽいデザインのバッグのほうが、実際に子供たちの反応も良いと感じるようになりましたし。
 
 
COCOmag___この10年で、子供たち自身のファッション感度も上がってきているのかもしれませんね。
 
 
飯田さん___いま幼稚園から小学生に掛けての年齢のお子さんをお持ちの親御さんたちは、ブランドの知名度や流行りも気にしてはいるけれど、それに振り回されていないところもあると思うんです。

良いものを見つけたら多少値が張っても購入するけれど、そうでないものには程々にしか予算をかけない、そんな良い意味でのメリハリがあると思うし、その影響は子供たちにも現れているんでしょうね。
 
 
COCOmag___そんなファッション感度の良い子供たちのアイデアや意見を取り入れたキッズ用バッグを作ってみるのも、面白いかもしれませんね。
 
 
飯田さん___4年ほど前に一度だけ、男の子からのリクエストを100%取り入れたデザインのミニメッセンジャーバッグを作ったことがあるんです。ゲーム攻略本が入る大きめのポケットや、メモリーカードなどを仕分けて収納できる小さめのポケットを内部に付けてほしいというお手紙をユーザーの男の子からもらって、それをそのまま形にして。

子供からのリクエストを取り入れたデザインはそれ以来手掛けてはいないんですけど、今後もそんな機会を作って子供たちの生活にすんなり馴染むようなアイテムを作れたら…と思いますね。機能的な面はもちろんだし、もっとデザイン的というか、ファッション寄りのリクエストも取り入れたりして。





男の子からのリクエストをもとにデザインされたのが、こちらのミニメッセンジャーバッグ[Pasna]。ポケットの数や色使いなど、当時小学3年生だった男の子からのリクエストが100%取り入れられています。
 
 
COCOmag___子供たち自身のファッション感度が上がっているでしょうから、大人が思いつかないようなクリエイティビティに富んだ、もっとファッション寄りのデザインも生まれるかもしれませんよね。
 
 
飯田さん___decorateとしてはバックパックとメッセンジャーバッグ、そしてトート&リュック2wayモデルの3タイプのキッズ用バッグをラインナップしていて、どれも機能的な部分がアピールポイントではあるんですけど、デザイナー的な立場から言うとdecorateのキッズ用バッグは機能性重視のツール・ギアではなくて、あくまでもファッションアイテムのひとつだと思っているんです。

大人だと目的地やシチュエーションによってバッグを使い分けるし、その日のコーディネートに合わせてバッグを選んだりするじゃないですか? そんなファッション的な観点でバッグを使い分ける習慣を子供にも持ってもらいたいし、その選択肢の中にdecorateのバッグが常に入っていて欲しいですね。
 
 
COCOmag___確かに、子供たちの日常にも通園・通学以外にも習い事とかスポーツとか旅行とか、いろんなシチュエーションがありますよね。それも小学生になって学年が上がるにつれ、林間学校やスポーツ遠征、修学旅行…ってバリエーションがどんどん増えてきますし。
 
 
飯田さん___そんな子供たちの日常のいろんなシーンに対応できる、いろんなバッグをこれからどんどんラインナップしていきたいんです。そして「スケートパークに行くときは絶対にこのバックパック」とか「お気に入りのこのアウターには、この色のメッセンジャーが似合うから好き」とか、子供たち自身が口にしてくれるようになれば嬉しいですね。

ブランドの基本コンセプトとして『たくさん自由なキッズバッグ』というキャッチフレーズを挙げているんですけど、シチュエーションに合わせて子供たち自身が自由に使える、選べる、良き相棒のようなバッグを作り出すブランドになれたらと思います。
 
 
 

『あくまでも主役は子供たち。だからもの作りの過程にも積極的に参加してもらいたい』

 
COCOmag___decorateの各モデルには、それぞれのモデル名が付いていますよね? あのモデル名はどんな経緯で付けることになったんですか??
 
 
飯田さん___自分がデザインしたバッグにモデル名をつけるのは、独立前にリトルアンデルセンで初めてバックパックを作ったときから、ずっと続けている自分の中のルールなんです。

業務的には、生産管理や在庫管理する際の品番があれば問題はないんですけど、それだけだとちょっと寂しい感じがするんですよね(笑)。
 
 
COCOmag___確かに、それぞれに違うモデル名があれば、自然と愛着が湧いてきそうですよね。
 
 
飯田さん___まさに、そうなんですよ。僕的には、モデル名を付けることでそれぞれがdecorateというブランドから生み出された我が子のような感覚になるし、それを10年続けていると取り扱いショップの皆さんも商品をモデル名で呼ぶのが当たり前のようになってきて、何だか僕の気持ちが伝わったのかな〜なんて思ったりして(笑)。

それに、子供たちにとってもアルファベットや数字が並んだ文字列よりも「この子の名前は○○」って教えてあげるほうが、早く覚えてくれるんですよね。
 
 
COCOmag___どのモデル名も、耳にしたことがあるようでしたことがない、地名でも、すでにある固有名詞でもない名前になっていますけど、これはどうやって考え出しているんですか?
 
 
飯田さん___モデル名は基本的にはオリジナルの造語なのですが、デザインのテイストから言葉を連想したり、カッコいいイメージなのか柔らかいイメージなのか、実際に口にしたときの言葉の響きも重視して、ひとつひとつ考え出しているんです。

すんなりと決まることもあれば、何日も悩んでまだ決まらないこともあって、これは実際に子供が生まれて名前を決めるときにママやパパ、家族みんなが真剣に悩むのと同じだと思います(笑)。
 
 
COCOmag___と言いつつ、2018年コレクションの中には、カタログモデルの女の子が名前をつけたモデルもあるとか…?
 
 
飯田さん___ああ、もともとは「poly」という名前だったドット柄のモデルですね。既にそのモデル名に決めてからカタログ撮影に入ったんですけど、モデルの女の子が「これは水玉の子だから…“ミコちゃん”!」とその場で名前を付けてくれて。それから撮影中ずっとそのモデルのことを「ミコちゃん」と呼んでいたんですけど、撮影が終わる頃には何だかそっちの名前ほうがしっくりきてしまって(笑)。

とは言え、そのままの名前だとラインナップの中でちょっと浮いてしまいそうだったので文字や語感を調整して、最終的には「micora(ミコラ)」という名前に変更することになりました(笑)。




こちらが、モデルの女の子のひと言がきっかけになってモデル名が変更された「micora(ミコラ)」。大ぶりの水玉柄と、口にすると可愛い語感のモデル名は、今となってはもともと予定されていたモデル名よりもピッタリな印象なのだとか。
 
 
COCOmag___キッズ用のアイテムを手掛けているブランドらしいエピソードですよね(笑)。そんな予定変更も、子供のアイデアなら許せてしまいますし。
 
 
飯田さん___そうですね、さっき子供たちにはdecorateのバッグを相棒のように思って欲しいと言いましたけど、子供たちにはいろんな形でdecorateに絡んでもらいたいし、良い意味で子供たちをdecorateに巻き込みたいっていつも思っているんです。だから、今回のモデル名変更はちょっとしたハプニングでしたけど(笑)、子供の方から積極的にdecorateに絡んできてくれた結果なら、それも子供らしい、decorateらしいエピソードだなと思って。

子供たちにdecorateに絡んでもらうために、ほかにもいろいろ考えたりしていて…例えばバッグの修理をお受けして、その修理が終わったバッグをお返しするときに、必ず手書きのお手紙を添えるようにしているんですよ。
 
 
COCOmag___それは保護者さんに向けたお礼状のような?
 
 
飯田さん___いえいえ、実際に使ってくれている子供に向けた、手書きのお手紙なんです。

decorateのバッグは子供たちが普段使うものなので、想定外の使い方でバッグが壊れてしまうことが稀にあるんです。そんなときは内容を確認させていただいた上で修理をお受けするんですけど、修理でバッグをお預かりすると少なくとも一週間くらい、修理の内容次第ではそれ以上になってしまうこともあるんですよね。

その間、このバッグの持ち主の子供は不便な思いをしているんじゃないかな? もしdecorateのバッグを相棒と思ってくれていたのなら、ひょっとしたら寂しい思いをしているんじゃないかな? とか思うと、バッグの作り手として子供たちに「長い間預かってしまってゴメンね」ってご挨拶したいし、もし不便で寂しい思いをしていたら、それを少しでも和らげてあげたい。それに「いつも使ってくれてありがとう」って感謝も伝えたくなるんですよね。

なので、ユーザーのお子さんの年齢をお聞きして、それに合わせて文体を調整したり、学年によっては習っている漢字の種類も違うから、ひらがなや漢字のバランスを調整してお手紙を書くようにしているんです。
 
 
COCOmag___あくまでも主役は子供、ということなんですね。
 
 
飯田さん___そうですね、実際にはバッグを購入してくださるのも、修理を依頼してこられるのも親御さんなので、そのやりとり自体はdecorateも含めて大人どうしのものなんですけど、そのバッグのリアルなユーザー、主人公は、子供たちなんですよね。だから、真っ先に子供たちに僕の気持ちやブランドとしての感謝を伝えたいし、それが子供たちを“子供扱い”しないことにもなるんじゃないかと思っているんです。

そんなふうに子供たちと接すれば、僕みたいな知らないオジサンでも子供たちの仲間にしてもらえるかも知れないし(笑)、さっきも言ったように良い意味で子供たちを巻き込めるんじゃないか、decorateのいろんな活動にも参加してもらえれるんじゃないかと思っています。
 
 
 

『子供たちが “良き相棒”だと思ってくれる。そんなアイテムを送り出したい』

 
COCOmag___継続的に展開している震災チャリティーアイテムや、飯田さんが個人的にボランティア活動をしてらっしゃるのも、そんな相手の目線に立つ気持ちから生まれたものなんでしょうか?
 
 
飯田さん___そうですね。2011年の東日本大震災や昨年の熊本地震へのチャリティーアイテムとして「Caring Style」という雑貨コレクションを展開したり、個人的にもほぼ毎月、東北地方を中心にボランティア活動に参加しているんですけど、どちらも特に気負っているわけではなくて。

2018年コレクションの中のひとつに、ファスナーを弱い力でも開閉できるものに変更して、フラップの下の巾着部分もファスナー式に変更したモデルがあるんですけど、実はそれもハンディキャップがあって手に力が入りにくいお子さんを持つ親御さんとのやり取りから生まれたものなんです。




2018年コレクションの中の1点・[rocardu+]の特別モデルとしてデザインされた「rocardu+【Heartful】バージョン」。各部のファスナーには弱い力でも滑らかにスライドさせることができる「ビスロンファスナー」を採用、メインコンパートメントもファスナーで開閉するBOX型とすることで、巾着の紐を上手く扱えない子供たちも気軽に使用することができるデザインとなっています。
 
ブランドとしても、個人的にもできることには限りがありますけど、「自分だったら、すごく困っているんだろうな」「自分が少し動くことでお手伝いになるんだったら、それでいいかな」なんていう無理のない範囲で、こんな対応や活動も続けていけたらと思っています。
 
 
COCOmag___そんな対応をしていくうちに、ひょっとしたら将来的にはバッグだけではなく、いろんなシーンに合わせたキッズ用のアイテムを手掛けることになるかもしれませんよね。
 
 
飯田さん___そうですね、実は最終的には服以外のすべての領域でキッズ関連のアイテムを手掛けたいと思っていて…シューズや傘みたいなファッション雑貨とか、もっと生活のシーンに入っていって食器や家具とかのインテリアとか。

例えば子供が初めて遠足に行くとか、旅行やキャンプに行くとか、そんな子供のイベントがあるときに「decorateなら必要なものが揃うはず」と思ってもらえるような、そんな幅広い展開を行えるブランドにすることが、将来的な夢ですね。
 
 
COCOmag___そうなると、子供のイベント絡みで困ったときにすぐ足を運べる直営ショップも作らないと…とか(笑)。
 
 
飯田さん___そんな夢はどんどん膨らむんですけど(笑)、そうなるためには、あらためて初心に戻っていろんなことに取り組まないといけないと最近感じているんです。

子供服だけに限りませんけど、今はあらゆるものがマーケットに溢れていて、逆に“無いもの”が無いといった時代になっていますよね。そんな中でお客様に手に取ってもらえるものを作るには、インパクトや話題性だけを狙って手軽にものを作るのではなく、じっくり真面目に取り組むことが遠回りのようで一番の近道のような気がして。

だから、初めてのコレクションができあがったときの感動とか、それを販売してくださったショップさんや使ってくれた子供たちとその親御さんへの感謝とか、そんなブランドを初めた頃の気持ちをあらためて思い出して、もの作りに取り組まないと…って。
 
 
COCOmag___なるほど。でも、どんな時代でも子供たちは気に入ったものは飽きずにずっと使い続けるし、逆にどんなに高価で有名なものでも、自分が嫌なものは絶対に「イヤッ!」っていいますよね(笑)。これからは、じっくりと考え抜いたもの作りと同時に、そんな子供たちの気持ちをギュッと掴むもの作りでもないといけないんでしょうね。
 
 
飯田さん___確かに(笑)。そこはいつの時代も揺るがない部分でしょうし、そんな子供たちの気持ちに応えられるものをdecorateとして提案し続けていかないと、とも思いますね。

ブランドの仕事って、商品を作ることで終わるのではなくて、ショップや売り場を通じて最終的にエンドユーザーの皆さんの手に取っていただくこと、さらにそこから実際に使い込んでいただくこと、そしてその感想やフィードバックをブランドに返していただくことまでのすべてを含めたことが仕事なんだと思うんです。

「商品ができあがったらゴール」でも「商品が売れたからゴール」でもなく、ある意味「商品が売れてからがスタート」だとも言えるわけですけど、decorateは日常的に使われるものを手掛けているブランドだからこそ、子供たちの手に渡った後もずっとその日常や成長に寄り添える、しっかりとした作りとデザインのバッグを提案していきたいですね。

そんなバッグを子供たちがとことん使い込んで「大のお気に入り」「最高の相棒」と思ってくれたら本当に嬉しいし、それくらい子供たちが満足してくれるものなら、やがて親御さんも満足してくれるはずです。シーズンごとに入れ替わるのではなくて、長いスパンで子供たちと親御さんの毎日に寄り添えるアイテム、そしてそれに耐えられるよう真剣に作り込んだアイテムを、decorateとしてこれからも送り出していきたいと思います。

(取材・文/COCOmag編集部・柳原)

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