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【INTERVIEW】キッズブランド[FABRIQ REPORT]デザイナー 市川聡司さん_「本場のもの作りと、着こなしを楽しむこと。そんな“スタイル”を伝えるブランドになりたい」

ワーク、ミリタリー、アメカジ、スポーツ、マリンといったさまざまなカジュアルスタイルのテイストを巧みにミックスしたコレクションを展開するキッズブランド・FABRIQ REPORT(ファブリックレポート)。姉妹ブランドのMEIN HEIM(マインハイム)とともに、岡山県倉敷市に拠点を置く子供服メーカー・リトルランドが展開するブランドです。

その魅力は、世界的にも有名なデニム生地の産地に拠点を構えつつ、デニムの定番的なイメージだけに因われない、大人顔負けのトレンドのスパイスを効かせたデザインのもの作り。ファッション好きのパパ・ママが思わず自分のサイズを探してしまいそうになる、そんな大人目線のもの作りで、ここ数シーズンでさらに注目を集めています。

そんなFABRIQ REPORTのデザイナー・市川聡司さんを今回インタビュー。異業種からの転身で子供服に携わるようになったきっかけや、デザインの際に大切にしていること、そしてこれからのことなどをお聞きしてきました。
 
 
 

『世界的に評価される岡山・倉敷のデニムに誘発されて、アパレル・子供服の世界へ』

 
COCOmag___今シーズンはFABRIQ REPORTのブランドスタートから11年目に入り、新しい節目の年になりましたね。
 
 
FABRIQ REPORT・市川さん(以下、市川さん)___そうですね、私がリトルランドに入社したのが2005年、ブランドとしてのFABRIQ REPORTは2006年秋冬コレクションからスタートしたので、ブランド自体もちょうど10周年、この2017春夏コレクションで11年目に入りました。
 
 
COCOmag___市川さんは、リトルランドに入社される以前からアパレル関係のお仕事をされていたんですか?
 
 
市川さん___いえいえ、もともと岡山県出身なんですけど、大学進学で関東に移り住んで、卒業後はまた岡山に戻って飲食業界で働いていたんです。カフェでパスタを作ったり、コーヒーを淹れたりとか。そこからの転身だったので、アパレル業界の経験がまったく無いまま、子供服業界に飛び込んでしまったような感じで。
 
 
COCOmag___飲食業界から子供服業界への転身って、私の知っている限りではけっこう珍しい経緯のような気がします。やはり何か子供に関わる仕事がしたい、自分の子供に着せる服を作りたい、みたいな思いがあったからなんでしょうか?
 
 
市川さん___うーん…実はそこまでの熱いものは、初めはなかったような気がします(笑)。

もともとファッションに興味はありましたし、学生時代がちょうど裏原ブランドのブームの時期で、自分もそんなブランドを買ったり、セレクトショップや古着屋にしょっちゅう足を運んだりはしていましたけど、それはあくまでも着る側、買う側としての興味だったんですよね。
 
 
COCOmag___じゃあ、子供服業界に入られたのは偶然というか…(笑)?
 
 
市川さん___良い意味での成り行き、とでも言うんでしょうかね(笑)。

思い返せば、飲食業界から一旦離れて「さて次は何をしよう」って考えたときに、「そういえば岡山ってデニムで有名なんだな」とあらためて思ったのが、子供服業界に入るきっかけになったんだと思いますね。

10年ほど前に世界的なデニムブームがあって、海外のブランド、特にヨーロッパのファッションメゾンと呼ばれるクラスのブランドが、岡山県倉敷市、その中でも児島エリアのデニム生地メーカーが手掛けたデニムをこぞって採用していたんです。児島のデニムはそれ以前から海外でも評価されていたんですけど、そのことであらためて自分の地元のことを見直したというか。
 
 
COCOmag___もともと地元で馴染みがあったものを、自分の中でも再評価した感じですね。
 
 
市川さん___それプラス、自分はいろんな服を買って、着てきたけれど、“作った”ことはないなとその頃に思うようになったんですよね。

仕事としていろんなメニューを“作る”仕事をしてきたけれど、大好きな服は作ったことがないな、どうやったら作れるのかな? ひょっとしたら自分にも作れるんじゃないかな?…って、服を「着る」ことと同じくらいに「作る」ことにも興味を持ち始めたんです。「デニムの一本くらい、縫えるようになっておきたいな」って。

自分の中で地元・岡山のデニムをあらためて見直したことと、服を作ってみたいと思ったこと、そんな思いが重なって、ひょっとしたら地元のアパレルメーカーかブランドに入れば服作りを覚えられるかもしれないと思うようになったんですよね。そこからアパレル業界での就職先を探し始めて、縁あってリトルランドに入社したという感じでした。
 
 
COCOmag___なるほど。でも岡山には子供服以外にも、メンズ・レディースのアイテムを手がけるメーカー・ブランドがありますよね? その中で子供服を選んだのは、どんな理由だったんですか?
 
 
市川さん___あくまでも良い意味ですけど、子供服って大人の服に比べると着る人の趣味やエゴを気にし過ぎなくてもいいし、デザインに対してもある程度自由に作れるんじゃないかと思うんですよ。もちろん、中途半端でいいとか、いい加減に作るとかという意味じゃないんですけど。

例えば大人の服、特に男性の服は、その人のファッション感度が高ければ高いほど、服のデザインや作りに対して譲れない部分、こうであって欲しいって思う部分が多くなりますよね。アウトドアウェアならファスナーは防水仕様でないと…とか、デニムならジッパーはどこどこのものでないと…とか。
 
 
COCOmag___もともとは機能性を追求した結果だったディテールがデザイン的な要素にもなっていて、そこにコダワリを求める、っていう図式はたしかにありますね。特に男性は(笑)。
 
 
市川さん___自分も服を買うときは実際そうなるので、そのコダワリの気持ちはよく分かるんです。

でも、子供服の場合はそこまでの本気のクオリティは必要なかったりするし、子供自身がそういうディテールにこだわることはないから、あくまでもデザインの要素のひとつとしてディテールを決めることができるんですよね。

もちろん、子供が好きそうな色とか形はあるとは思いますけど、やっぱり大人の服に比べてデザインの自由度が高いと思うし、トレンドに左右される要素も少ない、それに特定のジャンルだけにとらわれることも少ないし。

そんな自由度の高さがなんだか楽しそうだな、子供服をやってみたいなと思った大きな要因でしたね。
 
 
 

『服作りの現場で活躍する職人さんたちから学んだ、もの作りの難しさと楽しさ』

 
COCOmag___とは言え、アパレル業界に転身して初めてのキャリアですから、いろんな苦労があったんじゃないですか?
 
 
市川さん___いやーそこは本当に、専門的なことを学ばれた方に比べるとかなり苦労というか、苦戦したと思います。

初めて作ったのはデニムのボトムを3型ぐらいだったんですけど、自分の頭の中に思い描いているものを伝えるための専門的な用語をまず知らない、だからうまく説明も指示もできない、その結果できあがってくるサンプルが全然イメージと違う、そんなことの繰り返しで(笑)。
 
 
COCOmag___もともとファッション好きで、思い描いているものが頭の中にあるだけに、それはもどかしいですよね。
 
 
市川さん___でしたね(笑)。生地の厚みとか糸の太さとか、あとはパーツの選び方、縫い方の指定…そんな服を作るためのいろんな要素の組み合わせって服作りの基礎なんですけど、初めはそのことをぜんぜん理解していなかったので、「どうやったら上手く伝えられるんだろう、上手く出来上がってくるんだろう」の繰り返しでした。

ただ幸運だったのは、生地の産地であり、その関連産業として服の生産業も盛んな岡山・倉敷の特性というか、服作りのプロセスを始めから終わりまで見渡せる環境が間近にあったということですね。
 
 
COCOmag___服作りのプロセスを見渡せる環境、と言うと?
 
 
市川さん___倉敷って、さっき言ったような世界的に評価されている大規模な生地メーカーがある一方で、生産現場を支えているのは小規模な縫製工場だったり、専門の職人さんだったりするんです。

職人さんになると自宅の一角を作業場にして完全に個人でやっているような方が多いので、会社どうしの仕事の取り引きというよりも、その職人さんと個人対個人でやり取りするような感覚がとても強いんですよね。
 
 
COCOmag___そんな職人さんが、会社の近くにもいらっしゃるんですか?
 
 
市川さん___ええ、会社から車を少し走らせるような範囲に、シャツのボタン付けを専門にしているおばさんとか、ポケットだけしか担当しないけどとても上手に縫ってくれるお婆ちゃんとか、そんな専門的な縫製の職人さんがたくさんいらっしゃるんですよ。

そんな方に作業をお願いするときには、生地やパーツを持って直接足を運んで、「こんな感じのものを作りたいんだけど、ここはこう、こっちはこんなふうに…」なんてお話しながら説明するんです。そこで一番良い方法を教えてもらったり、実際に作業を見せてもらいながらもっと工夫できるところがないかを一緒に考えたりして。

たまに怒られたりもしながら(笑)、そんなふうに職人さんから現場でいろんな知識や技術を教えてもらって、3年目くらいでやっと全体をコントロールできるようになったというか、自分が思い描いているものと出来上がりとのギャップが埋まってきたような感じでしたね。
 
 
COCOmag___仕事としてこなしつつ、現場が学校だったような感じですね。
 
 
市川さん___本当に、そんな感じだったと思います(笑)。学校で教えてもらうことももちろん大事ですけど、実際に見聞きすること、体験することがとても大切だと実感できたのは、自分としても大きかったですね。


こちらはリトルランド社内にあるミシン。社内には何台ものミシンやリベットを付ける機械など、思い付いたものをすぐに形にできる環境が備えられていて、もの作りを身近に感じながら実践できるそんな環境も市川さんにとっては大きな味方だったのだとか。
 
 
 

『アイデアを盛り込んでいくのではなく、削ぎ落としていくことで完成するデザインとコレクション』

 
COCOmag___先ほどの話にも出ましたが、FABRIQ REPORTがスタートしてからちょうど10年、その間にはシーズンごとにいろんな変化があったと思うのですが、特にこの3〜4シーズンはデザインのテイストやコレクションの構成が変わってきているように感じるのですが。
 
 
市川さん___そうですね、もともとFABRIQ REPORTは倉敷という土地の特性をフルに活用しているブランドなので、デビューした頃からデニムに強くて、ボトムを中心に定番的なアイテムが充実しているブランドではあったんです。

そんな部分で評価をいただきつつ、さっきのお話のように私自身も周りからいろんなことを教えてもらいながら10年近く続けてきて…自分でいうのもアレですけど(笑)、やっとある程度のものは作れるようになった、ブランドとしてのベースが出来上がったというように思えてきたんです。

そこでこのブランドのこれからの10年を考えた時に、倉敷発のデニムとしての良さだけではなくて、ブランドとしての個性や世界観をもっと前面に押し出したもの作りが必要だと感じるようになったんですよね。
 
 
COCOmag___確かに、「デニムのブランド」というとイメージ的にボトムスが中心で、それ以外のアイテムはプラスアルファ的なものというか、ボトムスをより良く見せるもののような捉え方になってしまいがちですよね。
 
 
市川さん___それはそれで、デニムブランドのイメージとして悪いことではないと思うんです。

けれど、FABRIQ REPORTはデニムだけのブランドではなくて、あくまでも「子供服ブランド」なので、これからの10年でどんなデザインを見せていくのか、ママやパパに向けてどんなスタイルを提案していくのか、ということをいろいろと考えましたね。それが、ここ数シーズンのコレクションやカタログなどのビジュアルに反映されているんだと思います。





コレクションの構成に変化が見え始めた、2015秋冬シーズンのカタログから。トレンドを意識したアイテムも増え始め、ブランドの幅が広がりだしたコレクションとなっていました。(※コーディネートは一部姉妹ブランド・MEIN HEIMとのミックスとなっています)
 
 
COCOmag___具体的に、この数シーズンはどんなことを考えてコレクションをデザインしているんですか?
 
 
市川さん___「こんなものを作ってみたい」っていう個々のデザインのイメージは、シーズンに関係なく常に頭の中にあるんです。学生時代はできる範囲でいろんな服を着てきたので、アメカジはもちろん、ストリートカジュアルも好きだし、アウトドアやスポーツウェアも…って、今も変わらずいろんなスタイルが気になるんですよね。

それプラス、私自身が少し天邪鬼なところがあるので、「今はこれが流行っているけど、それに合わせるんじゃなくて逆にこんなことしたらどうだろう?」っていう感じで、あえて流行っていないものや周りがチェックしていないであろうものを作ってみたいって思うところもあって(笑)。

そんないろんなイメージを常に頭の中でシャッフルして、そこからコレクション全体としてさらにイメージを膨らませていくんです。

例えば2017春夏シーズンは「野外フェスに出かけるファミリー」がテーマなんですけど、これは自分自信が音楽好きだし、フェスやライブ好きだし、みたいなところからイメージ作りが始まったんです。フェスに出かける当日はどんなコーデにする? とか、予習も兼ねてレコードショップにCDを買いに行くかも、フェスで音楽が好きになってライブハウスに行くようにもなるかも、バンドを組んじゃうかも…みたいな感じで。
 
 
COCOmag___いろんなシチュエーションが浮かんできて、聞いていてもちょっと楽しくなりますね(笑)。
 
 
市川さん___ええ、イメージを膨らませている段階は自分でも楽しみながらやっています(笑)。

そんなふうに一旦いろんなシチュエーションとイメージを膨らませたら、それを具体的な形にするのにはどんなアイテムがどこまで必要かを考えて、今度は逆に膨らんだイメージから本当に必要なもの、イメージの芯になりそうなもの以外を削ぎ落としていくんです。
 
 
COCOmag___イメージは膨らませるけれど、結果的にはいろんなものを付け足していくのではなくて、引いていくような感じなんですね。
 
 
市川さん___そうですね、まさに引き算と言うか、そんな感覚です。

これはさっきの話にも通じるところがあるんですけど、実際に服を作り上げる現場にとても近いところで服作りを覚えてきたので、現場の得意分野に合わせてのデザインとかアレンジも考えられるようになったんですよ。「あの工場が得意な縫い方なら、こんなものが作れるんじゃないか?」とか、「あの職人さんなら、こんなデザインでも作ってくれるはず」とか。

なので、「あれもこれも、いろいろ作りたい」という気持ちがあるのはもちろんですけど、むしろそれよりも服の生産・縫製に長年関わってらっしゃる現場や職人さんたちの得意分野をいかに活かして今の時代にあった子供服を作れるのか、といいう気持ちの方が強いんですよね。

だから、作りたいアイテムをどんどんプラスしていくのではなくて、現場に合わせて無駄というか、ロスになってしまうような部分を少なくしていくような感覚で。
 
 
COCOmag___何というか…プロダクトのプロデューサーというか、コンポーザーというか(笑)。子供服のデザイナーではあるけれど、それと同じくらいトータルのバランス感を大切にしているような印象で。
 
 
市川さん___ああ、確かに。ある意味デザイナーっぽくない部分かもしれないですね(笑)。

もちろん、子供たちが心地良く着ることができて動きやすくて、かつママやパパにもデザイン的にカッコイイ、可愛いと思ってもらえるような子供服であるべきだと思っているし、そこはブレずに作っているつもりなんですけど、そのためにいろんな要素を盛り込みすぎるのも良くないと思っているんですよね。

デザイン的には膨らんだイメージから少し現実的に、リアルな世界に合わせて少し要素を間引いたくらいがちょうどいいと思っているし、ありがたいことにそんなデザインのものをしっかりと作ることができる環境が身近にあるんです。

そのバランスを上手く取れるようになったのがこの数シーズンと10年目の節目に重なって、コレクションの変化に繋がったんだと思いますね。

最新コレクションとなる2017春夏シーズンのカタログから。4人のモデル全員が前シーズンから継続ということもあって、市川さん自身がスタイリングしたコーディネートは「子供たちの顔や個性を思い浮かべつつ、リアリティがあるけどイマジネーションも膨らむもの」にしたのだとか。
 
 
 

『ブランド発信でいろんな話題やきっかけを作ることが、ママやパパに刺激を与えることになるはず』

 
COCOmag___ここまではFABRIQ REPORTのこれまでの10年についていろいろとお話をお聞きしましたが、10周年をきっかけにした新しい動きは予定されているんですか?
 
 
市川さん___はい、実際に商品として形になるにはまだ少し時間が必要なんですけど、海外ブランドと直接コラボレーションしたアイテムを手掛けられないかと計画しています。
 
 
COCOmag___日本のキッズブランドが海外のブランドと直接とコラボするって、まだ珍しいことですよね。
 
 
市川さん___そうですね、実現すれば互いの国内だけではなく広く海外向けにアイテムやブランドをアピールしていくきっかけになれるかもしれないし、そんなことを重ねていくことでブランドが話題をどんどん提供していけるようになりたいと思っているんです。
 
 
COCOmag___そのほかに、何か予定されていることは?
 
 
市川さん___具体的に決まっていることはまだ無いんですけど、コラボも含めて今後はいろんなスペシャリストというか、何かに特化したブランドと一緒にもの作りをしてみたいなと思っています。

FABRIQ REPORTとお互いに共通点があるブランドでもいいですし、あるいはまったく違うジャンルに特化したブランドでも、いろんなスペシャリストと組んでみたいなぁ…なんていろいろ考えているところですね。
 
 
COCOmag___それもやはり、話題作りも含めて?
 
 
市川さん___それもありますけど、ちゃんとしたもの、本物を作りたいというか…。

ブランドとしてラインナップを広げていくときに、子供サイズで“それっぽいモノ”は意外と作れてしまうんですよ。ディフォルメとか遊びの部分も含めてそんな“それっぽいモノ”を展開するのもいいんですけど、逆に本格的なもの、スペシャリストが手掛けるものをFABRIQ REPORTを起点にして作ることで、今までの子供服マーケットに無かったものを紹介できるんじゃないかと思っているんです。

オシャレが好きな大人なら必ず知っているブランドとか、アウトドア好きにはマストなブランドとか、子供服マーケットではまだ知られていないブランドやアイテムをコラボという形で持ち込むことができれば、ママやパパにとっては今まで見てきた子供服にはない楽しさや刺激を提供できると思うし、逆にまだそれほど子供服にまだ触れていないオシャレ好きな大人たちを、子供服マーケットに呼び込むきっかけになれるかもしれないですよね。

もちろん、売れるか売れないかも大事なんですけど(笑)、ブランド発信でいろんな話題ときっかけを提供することで、ショップの店頭も、お客さんであるママ・パパの気持ちも盛り上げていけたらいいなと思いますね。
 
 
COCOmag___確かに、そんなアイテムが増えれば、子供服マーケットの裾野を広げるきっかけになりますよね。
 
 
市川さん___あとは…子供服を中心にした萬屋(よろずや)というか、駄菓子屋みたいなショップをしてみたいなぁなんて思ってるんですけどね。
 
 
COCOmag___えーと…駄菓子屋ですか?(笑)
 
 
市川さん___あ、これは決して駄菓子を売りたい、ということではないんですけど(笑)。子供たちが自然に集まる、そこで情報交換をする、なんなら年上の人たちや大人からいろんなことを教えてもらう、そんな子供たちの居場所を作れたらいいなと思っているんです。

子供が「あの店なんか面白いな」「また行って誰かと遊びたいな」って思えるような場所があれば、子供たちが自主的に集まってきてくれると思うし、そこで学校とか塾とかスポーツクラブとかとはまた違う楽しいことに子供たちが触れることができたら、子供たちの毎日がもっと楽しくなるんじゃないかと思うんですよね。

それに、子供たちがいっぱい集まる場所に大人がちゃんと付いていれば、そこが子供たちにとってのセーフティーネットにもなってくれるはずだし。
 
 
COCOmag___もちろんFABRIQ REPORTの子供服も置いて、ですよね?「この服、おじさんが作ったんだよ」って(笑)。
 
 
市川さん___もちろん、そうですね(笑)。そこで子供たちが服を買うことは無くても、FABRIQ REPORTのアイテムを手に取ってみたり、服作りのことを聞いたりすることが、ファッションやもの作りに興味を持つきっかけになるかもしれませんから。

自分のことを振り返っても、子供の頃は近所の駄菓子屋に行くこと、そこでいろんな話をすることが楽しかったんですよね。学生時代になるとそれが古着屋とかレコードショップに変わって、先輩や大人たちからいろんなことを教えてもらって刺激を受けたりして。

そんな良い意味での「たまり場」みたいな場所があれば、子供たちが自分で楽しいと思えることを見つけたり、そんなことに対して自分で行動できるようになるかもしれない。そんな子供たちの好奇心や自主性を育てる場所を作ることを、FABRIQ REPORTとして実現できたらいいなって思ってるんです。
 
 
COCOmag___そうなると、子供服という“モノ”だけではなくて、遊びやライフスタイルみたいな“コト”をブランドとして提案することにも繋がってきますね。
 
 
市川さん___そうですね、まさにそんなことを考えています。

子供服だけに限らず、ファッション・アパレルのマーケットはジャンルも価格帯もどんどん細分化されてきているし、そのほかのライフスタイル全般についてもママ・パパたちの好みってどんどん細かく、そして複雑な組み合わせになってきて、幅広く誰にでも受け入れられるものを提案することは、どんどん難しくなってきていると思うんです。実際に親としての自分も、ショッピングやレジャーはそんな感じですし(笑)。

ほかのブランドさんやショップさんとお話していると、そんな状況を不安に捉えてらっしゃる方も多いんですけど、逆に自分たちの得意分野を伸ばして、提案したいことにどんどん特化して、それをアピールしていけるタイミングなんだって考えたら、悪いことばかりじゃないと思うんですよね。

FABRIQ REPORTがメインとして作っているもの、取り扱っているものは子供服だけれど、それを通じて伝えたいのは本格的なもの作りの良さだったり、シチュエーションに合わせて着こなしを楽しむことだったりという「スタイル」なんです。

そんなブランドとして伝えたい「スタイル」をどんどん磨き上げいって、アイテムのデザインやコーディネート、カタログとかのビジュアル、さっき言った子供が集まる場とかを通じて広く伝えていけたら、そしてママやパパや子供たちにいろんなきっかけを提案していけたら…って思います。

そしてそれを決して上から目線ではなく、服好きが高じてデザイナーになった自分自身の目線で、オシャレ好きなママ・パパと同じ目線で続けていきたいって思いますね。

(取材・文/COCOmag編集部・柳原)

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