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【INTERVIEW】キッズ&レディースブランド[cokitica]デザイナー 杉本好音さん_「ママどうしがいろんな思いを共有できる、そんなきっかけをcokiticaを通して作っていきたいんです」

毎シーズン紡ぎ出される「ふたりのちいさな男の子による魔法の国への冒険ものがたり」をテーマに、その世界観をさまざまな形で表現したコレクションを展開するキッズ&レディースブランド・cokitica(コキチカ)。どこか幻想的で、かつ素材やシルエットにも気を配った着こなしやすいカジュアルアイテムは、自分のスタイルをもつ高感度なママたちから支持されています。

そんなcokiticaのデザイナー・杉本好音さんを、今回インタビュー。冒険ものがたりやアイテムのデザインに込められた思い、そしてデビューから10年を迎えたブランドのこれからのことなどをお聞きしてきました。
 
 
 

『ママの思いが、服を通して子供たちに伝わる。そんな子供服を作りたかったんです』

 
COCOmag___今年はcokiticaが誕生してから10年目、記念の年ですね。あらためまして、おめでとうございます。
 
 
cokitica 杉本好音さん(以下、杉本さん)___ありがとうございます(笑)。ブランドのデビューが2007秋冬コレクションだったので、この2017春夏シーズンがちょうど10年、20回目のコレクションになりました。
 
 
COCOmag___もともと杉本さんは、cokiticaをスタートさせる以前からファッションスタイリストとして活動していらっしゃったそうですが、そこからどんなきっかけでcokiticaをスタートさせることになったんですか?
 
 
杉本さん___私がcokiticaを始める前のことを少しお話すると…もともと私は大学で服飾系の学科を卒業して、フリーランスのファッションスタイリストとして活動していたんです。

26歳でロンドン留学から帰国してから、90年代から2000年代にかけては「装苑」をはじめとしたファッションカルチャー誌でスタイリストを務めたり、YUKIさんやCharaさんなど女性アーティストのスタイリングやビジュアルを担当したりしていましたね。

ただ、いろんなメディアや場所でファッションスタイリストとしての仕事を続けている中で、「ファッションはシーズンごとに消費され続けるものでいいのかな?」なんていう疑問を抱くようになって、そこから自分の仕事についてもいろいろと考えるようになったりもしていて。

その頃に34歳で息子を出産して、子育てに関心が移ってきたり、もともと興味があった自然とか山、緑に対しての愛着がさらに深まったりして…cokiticaをスタートさせたのは、ちょうどそんな時期でしたね。
 
 
COCOmag___それが今から10年前、その頃の日本の子供服は、今ほどのバリエーションがなかった時代でしたよね。
 
 
杉本さん___でしたね、ドメスティックブランド、インポートブランドともに今ほどのバリエーションはなかったですし、大人が服を選ぶのと同じ感覚で選べる子供服も、そんな子供服を扱うショップも、まだ少なかったと思います。

私自身も息子に着せたいと思える子供服になかなか巡り会えなくて、bonpoint(ボンポワン・フランスのキッズブランド)の女の子アイテムを着せていたこともありましたし(笑)。
 
 
COCOmag___じゃあ、やっぱりそんな思いが「自分が着せたい子供服を作ろう」という気持ちになって、cokiticaをスタートさせたんでしょうか?
 
 
杉本さん___そうですね、当時は特に男の子服のバリエーションが少なかったので、息子に着せたくなる男の子服メインのキッズブランドにしようと思っていました。

それにプラスして、ブランドとして活動するのであればコンセプトや目標をきちんと持ってやっていきたいし、中途半端にやりたくはないという思いも強かったですね。

ただ、cokiticaをスタートさせた頃に北欧キッズブランドのブームがあったり、ドメスティックブランドが増えはじめたり、そのほかに私も関わらせていただいている「Milk JAPON」が創刊されたり、伊勢丹新宿店に「リ・スタイル キッズ」がオープンしたりして子供服マーケットもまた盛り上がってきた時期だったので、ブランドのスタート時期としてはタイミングが良かったと思います。
 
 
COCOmag___そのブランドスタートの時に掲げていたコンセプトや目標は、具体的にはどんなものだったんですか?
 
 
杉本さん___ママの思いが子供たちに伝わるような服を作りたい、という考えが第一にありましたね。

cokiticaの服が、それを手に取ってくれたママにとって大好きな一着になって欲しいし、袖を通す子供たちにもそれが伝わって、子供たち自身にとっても大好きな一着になって欲しい。

そして、サイズが小さくなって着られなくなっても大事にとっておきたくなるような、もしお下がりに出すのなら大好きな誰かに手渡してそんな思いを繋いでもらえるような、そんな服であって欲しいなって。
 
 
COCOmag___ただ新しいものを提供し続けるのではなく、アイテムのひとつひとつが思い出になる、そんな感覚ですね。
 
 
杉本さん___ブランドとしてシーズンごとにコレクションを展開していくことは自然なことなんですけど、ただシーズンが変わるからというだけで服を作るのではなくて、作り手であり実際にママでもある私が感じていることや考えていることをcokiticaの服を通して発信することで、ママとママ、ママと子供で思いを共有できるものになれば、いろんなきっかけを作ることができればと思っていましたね。

それ以外には、エコロジーなこと、リサイクルやリユース、地球の環境を考えたオーガニックなこと、チャリティーやフェアトレードの意識を持つブランドでありたいと考えてもいたりして。
 
 
COCOmag___「ママとママが思いを共有する」というのは、例えばそれは、杉本さんご自身が子育ての中で感じたことであったり、実際に直面した問題であったり…?
 
 
杉本さん___そうですね、私自身もcokiticaの仕事とスタイリストの仕事、両方をこなしながら子育てもしていますけど、そんなドタバタな日々の中での子育てしていると、いろんな事件が起きるんですよね。あとで笑い話になるようなエピソードもあれば、時には本当に悩むようなこともあるんですけど、それが親としてあらためて子供と向き合うきっかけになるじゃないですか。

そんな、子供がいることで向き合えることとか、子育てをしていたからこそ気付かされたことをママどうしで共有できたら、そんな「きっかけ」や「場」をcokiticaから提供することができたら、ということも思っていましたね。
 
 
COCOmag___キッズファッションのブランドというよりも…なんでしょう、プロデュースというか、活動というか。
 
 
杉本さん___そう、まさに「活動」ですね。だからいろんな人たちに参加してもらえるワークショップもやっていますし、チャリティー活動ももっとやっていきたい、それから、それから…って、やりたいことはいろいろ浮かんでくるんですけど(笑)、やっぱり根底にあるのは「いろんな思いを共有する」ということなのかな、と思います。

実は今回インタビューを受けるにあたって、ブランドを始める頃にあれこれ思うことを書いていたノートを見返してみたんですけど、その中にその当時の気持ちや感情が書かれてあって、こんな一節があったんです。

「出産という奇跡を通して出会えた小さな命に、
すべての愛されるべきちいさな人へ
愛と感謝と尊敬を込めて
このちいさな人たちのすばらしき未来のために
今、私たちに出来る事を。」

「ちいさな人をいつでも冒険に送り出してあげよう。
そんな君たちにcokiticaっていう魔法のおまもりを持たせてあげよう。」

cokiticaとして作っているのは子供服だけど、服を作ることだけが目的なのではなくて、思いを伝えたり、何かを共有したりすることがブランドにとっても、自分にとっても大切なんだなとあらためて思いますね。
 
 
 

『毎日が冒険の子供たちとママに向けた言葉を散りばめた、“ふたりのちいさな男の子による魔法の国への冒険ものがたり”』

 
COCOmag___毎シーズンのコレクションでは、「ふたりのちいさな男の子による魔法の国への冒険ものがたり」がデザインのテーマになっていますよね。

空想の中のいろんな国や場所へ旅をしたり、そこでいろんな出会いや経験をするあの物語も、そんな「思いを共有する」ということのヒントになっているんでしょうか?
 
 
杉本さん___物語の中でも、もちろん服のデザインでも、直接的にメッセージを表すことは無いんですけど、その時々で伝えたいことや共有したいことは、その中に散りばめられていると思います。

例えば、来シーズンの2017秋冬コレクションを準備しはじめたときのことなんですけど…物語が全然まとまらなくて、でも展示会に向けてのスケジュールはどんどん詰まってきているという状況の中で、息子が家の中である事件を起こしたんです。そのことで、私自身が子育ての中でぶち当たった壁に、あらためて気付かされて。

2017秋冬コレクションの物語は「願いが叶う扉」のお話なんですけど、その中には私がその事件で気付かされたことが盛り込まれていて、その物語の世界観から湧き上がったデザインのアイテムが展開される予定なんですよ。
 
 
COCOmag___新しいコレクションを目の前にすると、どうしても服そのものの可愛らしさやデザインに目がいってしまいますけど、そんな背景にある物語や世界観も合わせてママや子供たちに伝われば良いですよね。
 
 
杉本さん___ブランドのウェブサイトにはシーズンごとのコレクションと物語を一緒に掲載しているんですけど、それぞれのストーリーも合わせてcokiticaのコレクションを楽しんでもらえたら嬉しいですね。

cokiticaウェブサイト内の過去のコレクションアーカイブ。各シーズンの「ふたりのちいさな男の子による魔法の国への冒険ものがたり」が掲載されています。
 
 
COCOmag___シーズンごとに物語を作ってコレクションを展開していくというコンセプトは、初めから決まっていたんですか?
 
 
杉本さん___そうですね、cokiticaをスタートさせようという話が立ち上がってから、自分の思いやどんな服にしたいのか、あとは営業戦略的なことというか(笑)、そんなことをいろいろノートに書き溜めていたんですけど、そのノートの中で自然に冒険物語が始まっていましたね。

ブランドのコンセプトが固まる前の段階で、既に「はじまりのいっかいめは、空から降りてきた鳥の羽が種を蒔いて芽が出たところに、マーチングバンドのファンファーレが鳴って、ふたりのちいさな男の子が旅に出る」って書いていましたから。(笑)
 
 
COCOmag___単に子供たちが旅をするだけではなくて、どこか神秘的な世界観の中で子供たちがいろんな経験を重ねていくというストーリーが多いのですが、どんな理由でこんな世界観の物語にしようと思ったんでしょうか?
 
 
杉本さん___シンプルに、私自身が「指輪物語」とか「ナルニア国物語」、「はてしない物語」のような魔法の物語が子供の頃から大好きだっていうことが大きいんですけど(笑)。

小さいときから図書館が大好きで、本をよく読む子供だったんです。いろんな本を読んでいた中でも、さっきタイトルを挙げたようなファンタジー小説、冒険小説が大好きで、全集で何回も読み返したりしていましたね。
 
 
COCOmag___「指輪物語」も「ナルニア国物語」も、結構長いお話じゃないですか? 私なんかは本で読むのは挫折して、映画になってからやっと最後までストーリーが分かったような人なのですが(笑)。
 
 
杉本さん___確かに、どれも長いお話ですよね(笑)。でもああいったファンタジー小説には、人生の教訓になるようなものがたくさん詰まっているなぁって、大人になった今でも読み返すたびに思うんです。

人の心の強さとか弱さ、人生で何を大事にするべきなのかとか、そのためにはどんなことをすれば良いのか、とか。

子供の頃に夢中で読んでいたときにはあまり意識しなかったことが、自分自身が大人になって子供を育てはじめたことで「あれはこういう意味だったのかな?」って気付かされたりして、そんな感覚をcokiticaを通していろんな人たちと共有したいと思ったことと、服のデザインを裏付ける設定としての冒険物語をテーマにすることが、自然と繋がっていったような感覚ですね。
 
 
COCOmag___手に取ってみたり、袖を通したりするのは服だけれど、シーズンごとの物語はcokiticaの世界観を形作る上での重要な要素であるわけですね。
 
 
杉本さん___それにプラスして、息子を育てていて「この子にとっては毎日が冒険なんだな」と感じたことも、シーズンごとに物語を作る理由としてあったんだと思います。

息子がまだ小さかったときは、家の中で階段から転げ落ちたり、引き出しの中のものを全部出してみたり、私の仕事用のバッグの中に食べ物とかを隠してみたりして(笑)、「なんでこういうことするの!」っていうことの連続だったんですよね。ほかには、砂場で一生懸命に穴を掘っているけれど、その穴の奥に何かがあると思って掘っているのかなぁ…なんて思ったり。

でもそれは、大人の私には理解できないけれど、彼にとってはどれも冒険物語のワンシーンなのかもしれないって、ある時に感じて(笑)。
 
 
COCOmag___確かに、何かと戦っている中で階段から落ちたのかもしれないし、何かを探し出すために穴を掘っていたのかもしれないですよね(笑)。
 
 
杉本さん___そう考えると、子供を育てること自体が壮大な冒険のようにも思えてくるし、ママたちも子供たちも今まさに冒険の最中なのかもしれない、なんて思えてきて。そんないろんなことを含めて、シーズンごとにいろんな考えやキーワードを散りばめた冒険物語を作っているんです。

それに、cokiticaをスタートさせたことも、私にとって冒険の旅の始まりだったのかもしれませんし(笑)。
 
 
COCOmag___なるほど(笑)。そんな冒険の物語を作るときは、事前に準備をしたりするんですか? 例えばアイデアノート的なものにいろいろメモするとか、Webや本で情報収集するとか。
 
 
杉本さん___普段は特にメモを書き溜めたりはしなくて…逆に意識はしていないけれど、いつでも何かを探しているような感じですね。日常の生活や仕事を通じて「良いな」って思う感覚とかキーワード、気になっていること、やってみたいこと、そんないろんな要素は、自然と自分の中に溜め込んでいるんです。

そして、そんなバラバラのパーツみたいなものが、何かのきっかけでスッとまとまる瞬間が来るんです。きっかけは何気なく読んでいる本の中の言葉だったり、音楽の中のワンフレーズだったり、その時々でいろいろなんですけど。
 
 
COCOmag___なんでしょう、よく言われる“降りてくる瞬間”みたいな感覚なんでしょうか?
 
 
杉本さん___なのかな?(笑)。例えば本を読んでいる最中に「私がしたかったはこれだ!」って感じる言葉が大きな文字になって目に飛び込んできて、「あ、ここに書いてあった! 見つけた!」みたいな感覚になるんですよね。

実は数日前に次の物語のキーワードを見つけたばかりなんですけど、それもアラスカをメインフィールドにされていた写真家・冒険家の星野道夫さんの本を読んでいるときでしたし(笑)。

そんな感じで、初めは散らばっていたイメージやテーマが、点と点が一本の線で繋がれていくようにより明確に定まって物語になって、もの作りへと繋がっていくんです。

その過程はコレクションごとに経てきているんですけど、毎回偶然ではなく必然を感じるし、そうだからこそ強いメッセージを持てるんじゃないかと思っていますね。
 
 
COCOmag___ということは、まず物語を作り込んで、それに沿ってデザインを考えて…という流れでコレクションが形作られていくんでしょうか?
 
 
杉本さん___物語作りとコレクションのデザインは、どちらが優先されているということもなく、緩やかに同時進行していることが多いですね。

物語について言うと、コレクションのデザインを進めていく中で、さらにいろんな言葉を書き出して紡いでいくというステップを経て、ようやく完成するんです。

コレクションのデザインについては、前のシーズンのデザインを進めている頃には既に「次のコレクションでこんな感じのものを作りたい」なんていうアイデアが私の頭の中にあるので、物語作りとデザイン作業が同時進行している中で、時間差はあっても最終的には同じ世界観の中で自然とイメージが繋がって、対でそのシーズンのコレクションを形作っているというイメージですね。

ちなみに、「ふたりのちいさな男の子による魔法の国への冒険ものがたり」は、毎回その冒頭部分、導入となる部分しか公表していないんですよ(笑)。
 
 
COCOmag___そう言われてみれば…確かに、過去のシーズンを振り返ってみると、これから冒険が始まるというところでお話が終わっていますね。
 
 
杉本さん___その続きは、cokiticaを手に取ってくれた皆さんに委ねたいと思っているんです。

子供たちには想像力を働かせて壮大なストーリーを作ってもらえたら嬉しいし、ママたちには物語の中に散りばめられたキーワードからいろんなことを感じてもらえたら嬉しい。それが、さっきも言った「思いを共有する」ことに繋がれば良いなと思っているんです。





こちらはcokiticaの2017春夏コレクション。「ふたりのちいさな男の子が望むものはなんでも実る木を探す冒険に出かけ」るストーリーからインスパイアされたコレクションが展開されます。

 
 
 

『ブランドの枠を飛び越えた、デビュー10週年を記念してのコラボライン』

 
COCOmag___ブランドスタートから10年を迎えて、今年は新しい動きも予定されてらっしゃいますよね。ビッグニュースはキッズブランド・smoothy(スムージー)とのコラボブランド「CKISM(キズム)」なのですが、これはどんな経緯で実現したんでしょうか?


2017年4月にデビューする「CKISM(キズム)」

 
 
杉本さん___smoothyのディレクター・品川さんとは、もともと交流があったんです。お互いの展示会に足を運んで情報交換したり、自分たちの子供用に互いのブランドのアイテムを購入したりもしていて。テイストは違うけれど男の子ブランドどうしだし、「何か一緒にできたら良いよね」みたいなことは、以前から話していたんですよね。

直接的なきっかけになったのは、お互いの息子たちも小学校の高学年になってきて「自分たちのブランドが作っている服を着なくなってきたね~」という、思わぬ共通点の話になったことですね。その話を持ち帰っていろいろ吟味していく中で、お互いのネットワークや得意な部分を活かし合えるよね…という感じで話がまとまってきて。
 
 
COCOmag___活かし合える部分というと、具体的にはどんなところだったんでしょう?
 
 
杉本さん___まず、どちらのブランドも今後取り組んでいこうと思っていたジュニアサイズの男の子に向けた提案である、ということがありました。

そのほかには、どちらのブランドも内部にスタイリストがいるのでコーディネート力を売りにした商品提案ができること、今までのもの作りのノウハウを活かし合えること、そしてお付き合いしている子供服ショップさんもそれぞれ違うから、より広いママたちと子供たちにそのアイテムを届けられるんじゃないか、ということなどですね。
 
 
COCOmag___そんなやり取りの中から生まれたのが、今回のコラボブランドなんですね。
 
 
杉本さん___ただ、一緒に作るにあたってcokiticaでもない、smoothyでもない新しいブランド名を付けるほうが、より共通のイメージを持てると思って、cokiticaの「CKI」にsmoothyの「SM」を合わせたブランド名「CKISM(キズム)」にしたんです。

私が思いついたブランド名なんですけど、品川さんに提案したらすぐに気に入ってくださって、じゃあ、ネームや下げ札といったパーツもつくろう、コンセプトMAPやテキストは私が担当しよう、みたいな感じで話がトントンと進みましたね(笑)。
 
 
COCOmag___この春夏のラインナップとしては、Tシャツ&ワイドショーツのセットアップ、バックパック、NEW ERAとのコラボキャップですね。

Tシャツ&ワイドショーツは、色合わせも含めての完全なセットアップアイテムですけど、カジュアルなアイテムでこんなアイテムはかなり珍しい反面、ジュニアサイズの男の子の服選びに困っているママに向けては、オシャレで便利で、これをベースに着回しも考えられるアイテムですよね。この上にジップアップパーカーとかアウトドア的なジャケットを羽織るだけで春先はOK、みたいな感じですし。




 
 
杉本さん___これはこの2ブランドだからこそ、と言うか。smoothyもcokiticaも内部にスタイリストがいるブランドなので、その強みを活かして「スタイリング」を提案できるものに…というコンセプトのアイテムですね。

上下のカラーコーディネートは品川さんと顔を突き合わせて、生地を選びながらの作業だったんですけど、意外とすぐに決まってしまって(笑)、ベーシックさの中にちゃんと流行りも押さえたこの3パターンになりました。良いと思うもの、欲しいと思うものは、男の子ブランドに関わっている者どうしで同じなんだなと思った瞬間でしたね。

バックパックは、smoothyのアイテムでは使っていない素材を採用して、最近のアウトドアスタイルの流れでもあるライトウェイト(軽量)なテイストを取り入れたデザインです。NEW ERAのキャップと合わせて着こなしのアクセントに使ってもらいたいし、実用的にもじゅうぶんな作りです。
 
 
COCOmag___cokiticaの雰囲気からするとかなりカジュアル寄りなアイテムですが、これは敢えてカジュアルなイメージに振ってデザインしたんでしょうか?
 
 
杉本さん___そうですね、2ブランドのコラボという位置付けですけど、感覚としてはcokiticaの延長線上ではなく、違うジャンル、違うテイストの服として考えました。

cokiticaを離れた「スタイリスト・杉本」として、いま息子のためにどんなものが欲しいのか、みんなはどんなものを求めているのかを考えた、と言えばいいかな。余計なものはいらない、欲しいものだけ揃えたい!といったラインナップですね(笑)。
  
 
COCOmag___CKISMの展開はこの4月からとのことですが、反応が楽しみですね。
 
 
杉本さん___ですね、この春夏のCKISMの展開が好評なら、続く秋冬の展開も考えられますし、そこはちょっと祈るような気持ちでもあるんですけど(笑)。でも本当にCKISMについてはsmoothyさんに感謝、そしてブランド外の活動も理解してくれるcokiticaのスタッフに感謝です。
 
 
COCOmag___このCKISM以外にも、秋には10周年のイベントを予定していらっしゃるとか?
 
 
杉本さん___はい、cokiticaのアイテムのほかに、cokiticaセレクトのアイテムや雑貨も取り揃えた「cokiticaの魔法ストア」みたいなインショップイベントを伊勢丹新宿店で予定しています。伊勢丹の後は、そのストアで各地をキャラバンできれば楽しいんですけど…(笑)。
 
 
COCOmag___そしてこの2月にはパリで開催された国際的なキッズ展示会「Playtime PARIS」にも出展されて、この10周年を機にcokiticaの世界観やデザインがどんどん広がっていくことになりそうですよね。
 
 
杉本さん___Playtime PARISへの出展はブランドとしても大きなトライだったんですけど、cokiticaの世界観とデザイン、そして日本製アイテムのクオリティの高さに対して、バイヤーからもメディアからもとても良い反応を得られたのは嬉しかったですね。中には、同じ会場に出展している海外のキッズブランドの方が「興味があるから見ていい?」ってブースに足を運んでくれたりとかも(笑)。

世界中に広まって…とまではまだまだ言えないですし、クリアすべき課題も沢山見えてきましたけど、今まで日本国内でしか見てもらえなかったcokiticaがヨーロッパでどんなふうに評価されるのかを実感できたのは、ブランドとしてとてもプラスになりましたね。
 
 
 

『子供たちの中にある純粋な美意識や感受性を育てる、cokiticaがそのきっかけになりたい』

 
COCOmag___11年目のシーズンに向けてのコレクションのデザイン、もの作りはもう既にスタートしているわけですが…大きな節目の10年を超えて、cokiticaとしてのこれからの夢は何でしょうか?
 
 
杉本さん___そうですね…ブランドがスタートする時に考えていた、思いを共有する「きっかけ」や「場」を提供したいということはこの10年間もずっと考えてきていたので、それをいつか実現できたらと思いますね。私自身が登山やキャンプが好きなので、山や自然の美しさや大切さも含めて。

私の頭の中ではもうずいぶん前から名前が決まっていて、「cokiticaの森」っていうんですけど(笑)。
 
 
COCOmag___なんだか「トトロの森」のような(笑)。それは施設を作りたい、ということなんでしょうか?
 
 
杉本さん___いえいえ、それが具体的に施設なのか、場所なのか、活動のことなのかは全然決まっていないというか、自分でもまだ分からないというか(笑)。

今はまだ具体的なことは何もなくて、「あんなことしてみたい、こんなこともしてみたい」っていうアイデアの“点”でしか無いんですけど、いつかそれが繋がって“線”になって、大きなストーリーになっていけば良いなと思っています。

「ふたりのちいさな男の子による魔法の国への冒険ものがたり」の初めのストーリーは、空から降ってきた鳥の羽が種を蒔いて芽が出たところからスタートしたし、ブランドがスタートした時のプロローグには「芽がでて 花が やがて野原に あるいは森に…」って書いているし、きっと10年前に芽吹いた今の活動を、森にまで到達させようとしてるんじゃないか…と自分では思っているんですけどね(笑)。

こちらはcokiticaがファーストコレクションを発表する前に世に出されたプロローグ。種からの芽吹きがブランド誕生のメタファーとして表現されています。
 
 
COCOmag___それこそ、壮大な物語になりそうですよね(笑)。でも、毎シーズンの物語を作るときのように、何かのきっかけでアイデアの“点”が一気に繋がるのかもしれないですよね。
 
 
杉本さん___本当にそうなればいいんですけど、まあ、それはまだ夢として(笑)。

ブランドとしては、これからもcokiticaがいろんな「思い」を共有するきっかけになって欲しいのと同時に、子供たちが良いもの、美しいものに接したときに「良いな、素敵だな」って素直に感じられるようになる、そのきっかけになって欲しいと思っています。
 
 
COCOmag___cokiticaの服が子供の感受性を育てる、というようなことでしょうか?
 
 
杉本さん___これは私の実体験でもあるんですけど…cokiticaをスタートさせて間もない頃、息子がまだ3歳くらいだった頃は、cokiticaのほかにインポートキッズブランドの服を好んで着せていたんです。住まいが郊外だったこともあって、預けていた保育園では多分ちょっと目立っていたんですけどね(笑)。

ある日のことなんですけど、仕事帰りに息子をお迎えに行ったときにクラスメイトの女の子が私に駆け寄ってきて、おませな感じで話しかけてきてくれたんです。

「たくみクンの着てる服って、いつもステキね」って。「いつも色がキレイだし、形もなんだか違うし、本当にステキ」って。
 
 
COCOmag___その女の子は、息子さんの服の色や形の美しさを、子供ながらに感んじていたんですね。
 
 
杉本さん___そうなんです。その女の子は普段はキャラクターの服が大好きな子だったですけど、息子が着ていたキャラクターのない服を、私が良いと思って着せていた服の色や形や質感を、何も説明されていないのに純粋に「キレイでステキ」だと思ってくれた、そして素直にそれを伝えに来てくれたたんです。

そのことには、私自身が本当にドキッとさせられて…あの時に私は、「服を通して伝えていけることがある」という大切なことに、あらためて気付かされたように思えたんです。

そしてそれは服だけに限ったことではなくて、大人の私たちがどこかに芯となる美意識を持って子供たちに接していれば、「美しさ」や「良さ」というものは言葉にしなくても子供たちにもきちんと伝わるんだという確信にも繋がって。
 
 
COCOmag___自分の中に美意識や感受性を持つことを、その女の子に教えられたような感覚ですね。
 
 
杉本さん___本当に、そんな感覚ですね。私はその女の子の感受性にいろんなことを気付かされたけれど、そんな素敵な感受性をできるだけ多くの子供たちに持ってもらいたいと思うし、cokiticaの服や物語がそのきっかけになってくれれば、とても嬉しい。

だからこそ、これからもママやパパはもちろん、子供たちにもファッションの楽しさ、美しさを伝えられる服を作っていきたいと思います。

そして、さっきも言ったようないろんな活動を通じてものの美しさや良さ伝え続けていけたら、その中で私自身もまた、あの女の子に大切なことを教わったときにように感動する体験を重ねていけたら…って思いますね。

(取材・文/COCOmag編集部・柳原)

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