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【INTERVIEW】キッズ&レディースブランド[Go to Hollywood]デザイナー 寺田智子さん_「ファッションの楽しさを大人から子供たちにバトンタッチする、そんなきっかけを作るブランドになれたら」

大人のファッショントレンドとアメカジ・ワークなどのカジュアル感をミックスした、独自の世界観で注目を集めるキッズ&レディースブランド・Go to Hollywood(ゴートゥハリウッド)。DENIM DUNGAREE(デニム&ダンガリー)を筆頭にカジュアルテイストのキッズブランドを展開する子供服メーカー・FITH(フィス)の中でも一番自由度が高く、ファッション感度の高い女性目線で作られたコレクションを展開しているブランドです。

そんなGo to Hollywoodの誕生に関わり、現在は同ブランドのすべてのコレクションを手掛けるデザイナー・寺田智子さんを今回インタビュー。ブランドスタートのきっかけや、彼女自身が子供服デザイナーを志したきっかけ、そして子供服を通じて伝えたいことなど、いろんなお話をお聞きしてきました。
 
 
 

『DENIM DUNGAREEの中の“スモールコレクション”としてスタートしたGo to Hollywood』

 
COCOmag___もともと寺田さんは、DENIM DUNGAREEのデザインを長年手掛けていらっしゃいましたよね。そこからどんなきっかけで、Go to Hollywoodがスタートすることになったんですか?
 
 
Go to Hollywood 寺田智子さん(以下、寺田さん)___そうですね、FITHに入社するのと同時に当時はデザイナーが一人だったDENIM DUNGAREEに参加して、それからちょうど10年間くらいはDENIM DUNGAREEのアイテムをデザインしていました。

DENIM DUNGAREEに関わり始めてちょうど8年目の頃にGo to Hollywoodがスタートしたんですけど…実はひっそりというか(笑)、初めから大々的にブランドとして立ち上がったわけではなかったんですよ。
 
 
COCOmag___と言うと?
 
 
寺田さん___DENIM DUNGAREEの2006年・春夏コレクションでのことなんですけど、コレクション全体のコンセプトや方向性を見せるコーディネートを組む時に、それまでのDENIM DUNGAREEには無いシンプルなアイテムを作る必要性が出てきたんですね。

DENIM DUNGAREEはヴィンテージとかユーズドとか、いわゆる「アメカジ」のディテール感と素材感をとことん追求したブランドですけど、そんなアイテムにシンプルでキレイ目なものを組み合わせる提案をしたい、じゃあその「キレイ目なもの」も作る必要があるね、と。
 
 
COCOmag___ミックステイストというか、組み合わせのギャップを楽しむコーディネートですよね。
 
 
寺田さん___そうそう、まさにそんな感じです。ただ、そんなキレイ目のアイテムをDENIM DUNGAREEのコレクションに含めてしまうと全体のバランスが崩れてしまうかもしれないから、DENIM DUNGAREEとは違うブランド名を冠して商品化しよう、ということになったんです。

ステンカラーコートとか、ロンドンストライプのシャツとか、プリントがない超シンプルなスウェットシャツとか。Go to Hollywoodとしての初めてのアイテムは、確か10型あるか無いかくらいでしたね。
 
 
COCOmag___DENIM DUNGAREEのコレクション内でデビューした別ライン、というような位置付けですね。
 
 
寺田さん___ええ、本当に型数も少ない、スモールコレクションのような感じでした。ブランド名も、「いつかハリウッドセレブに買ってもらえるブランドになれるように」みたいな(笑)、ジョーク的な意味を含めたものだったんです。

それから数シーズン、DENIM DUNGAREEのもう一人のデザイナーと二人でGo to Hollywoodを手掛けていたんですけど、やがて「単独のブランドとしてGo to Hollywoodを展開しよう」ということになって。

そんな流れで私が担当するブランドとして正式にデビューしたのは2008年・春夏コレクションから、それでもまだ私はGo to HollywoodとDENIM DUNGAREEのデザイナーを兼任していたので、デビューコレクションは30〜40型くらいで、今の半分以下の規模でしたね。
 
 
COCOmag___デビューコレクションの反応はいかがでしたか? 正式デビューに前に助走期間というか、Go to Hollywoodの世界観を少しずつ披露していたわけですから、バイヤーやお客さんにもすんなり受け入れられたのではないかと思うのですが。
 
 
寺田さん___私もそんな期待をしていたんですけど、実は蓋を開けてみると良い・悪いの両極端で(笑)。

例えば、デビューコレクションの中で少し厚手のコットン地を使ったトレンチコートを作ったんです。それにカジュアルなアイテムを合わせて着こなすのが私のイメージだったんですけど、「トレンチコートをカジュアルに」というスタイルが当時はまだ一般的ではなくて、海外のストリートスナップで見掛けるくらいだったんですよね。

だからバイヤーさんの反応も、「こんなアイテムが欲しかった!」と言ってくださる方もいれば、「これは子供服としてはウケないと思う」とはっきり言われる方もいて(笑)。

あと、やっぱり「Go to HollywoodとDENIM DUNGAREEとは、どこがどう違うのか」ということをあらためて説明する場面も多くて、自分の中でもブランドの方向性をさらに煮詰めるきっかけにもなりましたね。

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Go to Hollywoodが単独のブランドとしてデビューした2008年・春夏コレクションのカタログから、素材などで少しラフにアレンジしたトレンチコートをカジュアルに着こなしたコーディネート。トレンチコートをカジュアルにアレンジしたスタイルは、キッズはもちろん、メンズ・レディースのアパレル的にも当時はかなり新鮮なスタイルでした。

 
 
 

『可愛いものとハードなもの、トレンドと定番、そんなギャップ感のある組み合わせが、Go to Hollywoodのコンセプト』

 
COCOmag___そのGo to HollywoodとDENIM DUNGAREEの違いについてですが…DENIM DUNGAREEはヴィンテージやユーズドのディテールをキッズサイズで再現したり、それを更に突き詰めたデザインだったりといった「アメカジ」の王道を行くようなブランドですよね。

それに対してGo to Hollywoodは、どんなコンセプトでデザインやコレクションを展開しているんですか?
 
 
寺田さん___DENIM DUNGAREEについてはその通りで、アメカジの王道かそれ以上のことをやっているし、男性的というか男子的というか(笑)、ディテールや世界観をどんどん掘り下げていくブランドですよね。

私がFITHに入社した時にはDENIM DUNGAREEのそんな世界観はすでに出来上がっていたので、私はそれに合わせて色んなデザインを手掛けてきたわけで、デザイナーとしては本当に色んな経験や知識を積んでこれたんです。

ただ、自分自身の服の好みはコテコテのアメカジではないし、やっぱりトレンドも気になるし、キラキラしたものとか女の子的な甘いテイストのものも大好きだし(笑)。

そんな私の好きな「女性的」なものと、DENIM DUNGAREEのような「男性的」なものを組み合わせれば楽しいのにな…ということはずっと考えていて、その楽しさ、面白さを表現したいという思いがGo to Hollywoodのデザインの根底にありますね。
 
 
COCOmag___確かに、先程の話に出てきたデビューコレクションのトレンチコートもTシャツとショートパンツとの組み合わせを提案していましたし、毎シーズンのコレクションも、女性的なテイストと本格的でハードなテイストのものが同居した構成ですよね。
 
 
寺田さん___ですね、レース使いとかの女の子らしいアイテムがある一方で、レトロなスポーツジャージのセットアップとか、アーミーコートのライナーだけを取り出したようなアウターとか、そんな一見ラフだったりハードだったりといったテイストのアイテムも、常にコレクションに含まれています。

ブランドコンセプトとしては「Roughedge meyou」というキーワードを挙げていて、これは「ラフ(Rough)」と「エッジ(edge)」、「私(me)」と「あなた(you)」を組み合わせた造語なんです。相反するもの同士のミックス感とか、色んな意味でのメリハリ感とか、そしてそんな組み合わせを着こなす楽しさを表すキーワードとして考えたんですけど、これを常に意識してコレクション全体を考えていますね。
 
 
COCOmag___なるほど。でも、そんな組み合わせもシーズンを重ねると新鮮さが薄れてきたりはしませんか?
 
 
寺田さん___もちろん、そうならないように毎シーズン心掛けていますよ(笑)。

Go to Hollywoodには「Roughedge meyou」というコンセプトと同時に、「スポーツ・アーミー・ワーク・デニム・エスニック」という5つのジャンルをコレクションにどう組み込んでいくのかというのが裏テーマ的にあって、それに私がその時々で気になっているテイストやトレンドをプラスしつつ、パズルを組み合わせるみたいに全体のバランスをシーズンごとに変えているんです。

だから、シーズンによっては5つジャンルのうちのどれかすごく目立つコレクションだったり、出来上がってみたらどれかが無かったコレクションだったり、ということもあるんです(笑)。
 
 
COCOmag___その「スポーツ・アーミー・ワーク・デニム・エスニック」という5ジャンルも、やはり寺田さんが好きなものだったりするんですよね?
 
 
寺田さん___もちろん自分が好きということもありますけど、この5つのジャンルは今の時代の色んな衣料・服のルーツだと思うんです。それぞれのジャンルの中のアイテムが持っていた機能性や意匠に色んなアレンジが加えられて出来上がってきたのが、フォーマル・カジュアルを含めて今の時代の色んな衣服なんだと考えていて。

なので、この5つのジャンルはGo to Hollywoodの中でハードなテイスト方面の担当と言うか(笑)、組み合わせのギャップ感やエッジを引き出すためのスパイス役なんですね。それらと女性的なものやトレンドとをどう組み合わせるのかが、Go to Hollywoodというブランドのウリと言うか、ポイントなんです。
 
 
COCOmag___なるほど、こうやってお話を聞くとDENIM DUNGAREEとは全く違う方向性のブランドですよね。
 
 
寺田さん___はい、実はそうなんです(笑)。でも、「どこがどう違うのか」と聞かれたのには自覚もあってですね…(笑)。

繰り返しになりますけど、「スポーツ・アーミー・ワーク・デニム・エスニック」というジャンルはいわゆる定番的なアイテムが属しているジャンルでもあったりするので、例えば5ポケットのデニムパンツみたいな超定番的なアイテムを、毎シーズン必ず何かしら作っているんです。

ただ、その時に「1シーズンだけのものだから」とか「子供服だから」とかの理由でデザインや作りを簡略化することはデザイナーとしてやりたくなくて、それこそ「同じ社内のDENIM DUNGAREEにも負けないくらいのデニムパンツにしよう!」くらいの意気込みで作っているので、見比べた時にバイヤーさんもお客様も迷ってしまう、ということはあるかもしれません(笑)。
 
 
COCOmag___コダワリが過ぎて、アメカジブランドに負けないデニムパンツ作っちゃう、みたいな感じですね(笑)。
 
 
寺田さん___ええ、それを理想としてデザインしてます(笑)。でも、そこで手を抜くんじゃなくて、きちんとしたものを作る、プロに見られても恥ずかしくないような本格的なものを作るからこそ、可愛いものやトレンドとのギャップが際立つはずで…それがGo to Hollywoodの魅力なんだと考えていますね。

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Go to Hollywoodがデビューした2006年・春夏コレクションを手掛けるにあたって、寺田さんが作ったイメージマップと、そのデビューシーズンのカタログ(右上)。イメージマップにはコーディネートやアイテム、ヘアスタイルなど、寺田さんのアンテナに引っ掛かったイメージの写真や切り抜きだけではなく、生地の見本が直接貼り付けられていたりもします。

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そしてシーズンによってはイメージの膨らみに合わせるようにマップも大きくなり、その積み重ねの量も膨大に。こうして膨らんだイメージが、各アイテムのデザインに落とし込まれていきます。

 
 
 

『“子供らしすぎない、大人っぽい作りの子供服”に憧れていた子供時代』

 
COCOmag___ここで少し遡った部分をお聞きしたいのですが…FITHに入社される前から、子供服のデザイナー志望だったんですか?
 
 
寺田さん___はい、実はFITHの前にもある子供服メーカーで数年働いていたんですけど、学生の頃から服飾デザイナー、その中でも子供服のデザイナーになりたいという気持ちが強かったですね。
 
 
COCOmag___そう思うようになったきっかけは、何だったんでしょう?
 
 
寺田さん___決定的なきっかけがあったと言うよりも、色んな積み重ねと言うか。

子供の頃から服が好きで、でもいわゆる子供っぽい子供服は嫌で、お出かけの時に着るちょっとおめかしした服が大好きだったり、「外国の子供は革靴を履いている」と何かで知ってすごく憧れていたり(笑)、そんな大人っぽい服というか、子供用でもきちんと作られている服に憧れる子供時代でしたね。

あとは、両親の影響で絵を描くのが得意で褒められたりしていたので、図画工作の授業がある日は何があっても休まなかったりとか、周りに差をつけたくて小学校の上履きの内張りを赤いドット模様に自分でカスタムしたりとか(笑)。何か作ったり、手を動かしたりするのは小さい頃から好きだったんだと思います。
 
 
COCOmag___子供服デザイナーとしての専門的な知識は、学校で学ばれて?
 
 
寺田さん___はい、短大を卒業した後に服飾系の専門学校に入って、その時点で子供服デザインを学べる学科を選択したんです。

でもやっぱり、いわゆる「子供らしいデザインの子供服」は好きではなくて(笑)、それで当時からある意味子供らしくない、本格的な作りの子供服を展開していた子供服メーカーに入社したのが、デザイナーとしてのスタートでした。
 
 
COCOmag___子供の頃のエピソードもですし、その後の歩みをお聞きしていると、子供の頃から本格的なもの作りとか、大人に負けないデザインに興味があったんですね。
 
 
寺田さん___それを意識したのは子供服デザイナーの仕事に就いてしばらくしてからなんですけど、確かにそうだったんだと思います。

学生の頃に子供服ショップでアルバイトしたことがあったんですけど、そのショップで扱っていたのが着ぐるみ的というか、耳や尻尾が付いていてそれを着ると動物になれる、みたいなデザインのものだったんですね。そんなショップでアルバイトしつつ、「確かにこれは可愛いけど、こんなことしなくても子供である時点でもうじゅうぶんに可愛いんだけど」なんてこと考えてたりしてて(笑)。
 
 
COCOmag___ああ、分かります(笑)。子供に関するものを扱う時点で「可愛い」と言うのは当たり前というか、サイズ感や見た目が可愛いのは当然だけど、重要なのはそこから一歩踏み込んでどんな可愛らしさを提案したいのか、どんな楽しい世界を体験してもらいたいのか、ですよね。
 
 
寺田さん___そうそう、そうなんです。遊びのアイテムとしてはそんなものもアリですけど、ファッションとして考えると、子供服も「可愛い」だけではなくて、どんな世界観を提案したいのかがとても重要なはずで、それを大事にしながら子供服を作りたいなぁ、なんて専門学校に通っている時から思っていましたね。
 
 
COCOmag___それを考えると、今の状況は理想の形というか、思い通りにできているというか(笑)。
 
 
寺田さん___いえいえ(笑)、ひとつのブランドのデザインを全て手掛けるというのはとても恵まれていると思いますけど、シーズンごとに反省点があったりして、まだまだです。

ただ、FITHの中では一番「遊び」の要素が多いブランドというか、メンズ・レディースのトレンドやエッジな部分を取り入れつつ自由度の高いデザインのアイテムを展開しているブランドだと思うので、そこは大切にしながら、もっと多くの人に見ていただけるようになりたいと思いますね。

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こちらは寺田さんの愛用品と、最近よくチェックしているという雑誌。ペンとノートは「これでないと仕事ができない」と何回もリピートする愛用の銘柄。雑誌「MOON」は、イギリスのスタイリスト・デザイナーのVerity Pemberton氏が2014年に立ち上げたファッションビジュアル誌。創刊からまだ4号しか出版されていないものの、注目を集めつつある雑誌です。
 
 
 

『ファッションはとても楽しいんだと一人でも多くの子供たちに知ってほしいし、そんな子供の姿を見てママやパパにも何かを感じて欲しい』

 
COCOmag___Go to Hollywoodが誕生してからは10年、正式なブランドデビューからは8年が経過したところですが、今後はどんな展開を予定されているんですか?
 
 
寺田さん___2017春夏コレクションでは、フレグランスとタオル類をラインナップに加える予定です。今までのウエア類以外にファミリーの生活シーンで使ってもらえるようなアイテムを充実させていければと以前から考えていて、今回やっと形になりました。
 
 
COCOmag___その新しいアイテムも、やっぱり寺田さんなりのコダワリが詰まったアイテムなんですよね?
 
 
寺田さん___そうですね、フレグランスはケミカルなものを極力混ぜないようにして作ったナチュラルな香りで子供も大人も使えるし、リビングの香りづけとしてアロマ的にも使えるもの。タオルはオーガニックコットンの糸を選ぶ段階からこだわって織ってもらった、肌に優しくて赤ちゃんにも安心して使えるものなんです。
 
 
COCOmag___じゃあ今後は、リビング・インテリア関係のアイテムも充実していくとか?
 
 
寺田さん___いえいえ、急にそのジャンルを充実させていくというわけではないんですけど、私が子供服デザイナーとしてやってきたことや考えていることを、今までとは違う形でもお客様に伝えていければと思って。

仕事としてはトレンドをチェックしたり、シーズンごとにどんどんコレクションを更新したりして、ある意味消費されていくものを手掛けているわけですけど、基本的に「もの作り」という作業は手を掛けるものに対しての愛情が深くないと良いものを作ることができないと、あらためて感じていて。
 
 
COCOmag___確かに、表面的な流行や形をなぞるだけでは、見た目はそこそこ良くても本当に良いものや感動するものはできないんでしょうね。
 
 
寺田さん___それはデザイナーとして仕事をしてきて、本当に実感したところなんです。

ただ、子供服という枠の中だと手に取っていただけるお客様もある程度限定されてしまうので、子供やファミリーをキーワードに広げていけるものは何かな? と色々考えて今回はフレグランスとタオル類になった、という感じで。
 
 
COCOmag___「愛情を込めて作ったもの」をもっと広げたいと思ったのは、やはり何かきっかけがあって?
 
 
寺田さん___これもデザイナーを志したのと同じで、色々なことが積み重なってなんですけど…(笑)。

子供服デザイナーとして駆け出しの頃、すごく悩んだ時期があったんです。憧れていた仕事に就いたのに、数ヶ月ごとに新しいものをデザインしてどんどん送り出すことは、消費されるためのものや、ひょっとしたら結果的に無駄になるものを作っていることになっているんじゃないかって。

そのことを当時の先輩に相談したら、「子供服は、色んな服の中でも一番幸せなものなんだよ」と教えてくれて。
 
 
COCOmag___「一番幸せなもの」とは?
 
 
寺田さん___子供服って、基本的に自分で買うのではなく、大人が子供のために買うものじゃないですか。

ママやパパ、お爺ちゃん、お婆ちゃんが、「お出かけ用に新しい服を買ってあげよう」とか、自分の子供なり孫なりのことを思って手に取ってくれるものなんですよね。そしてその後も、例えば「明日は遠足だから…」とか前の日の夜に組み合わせを考えて、リュックサックの横に明日着る服を置いてあげたりして。

そんな、誰かのこと思い描きながら何かを手に取る時には、色んな愛情がそこに込められるはずで、子供服はそんな愛情を受け止められる服なんだと。そんな服を作れる仕事はアパレルの世界の中でも一番幸せなんだよ、と教えてくれたんです。
 
 
COCOmag___それは子供服メディアを運営している私も身が引き締まると言うか…本当にそうですよね。
 
 
寺田さん___悩んでいたのはもうかなり前のことですけど、その時のことはずっと頭の中にあって、また最近思い出すようになったんですね。

それと、直営ショップでワークショップやイベントを開催することも最近増えてきたんですけど、特に地方のショップに来ていただいたお客さまと触れ合ったりすると、さっき言った服に対しての愛情とか思いをお客様から伝えていただくこともあったりして、こちらが刺激を受けることが多いんです。

そういうことが色々と重なって、こちらの思いが伝わっているんだなあと嬉しくなるのと同時に、こちらから伝えるということも、もっともっと頑張らないといけないと思うようになったんです。
 
 
COCOmag___確かに、伝えたいことが伝わっていると実感することはとても大切だし、励みになりますよね。特にそれが普段触れ合えない場所とかジャンルの方だと、余計に。

もうあれですね、Go to Hollywoodで各都道府県を周るキャラバンショップを作って、お客さん一人ひとりに会いに行くとかしてみても…(笑)。
 
 
寺田さん___ほんと、実現できるのならそういうこともやってみたいんです。

ブランドのテーマとして「旅をする」というキーワードも大事にしているので、日本とは言わず世界各地に足を伸ばして、その場所で見つけた面白いものを取り上げてミックスするとか。色んな場所で、色んな人たちに、色んなものや文化を組み合わせた世界観をお見せできたらなぁ…なんて、妄想はどんどん広がりますけど(笑)。
 
 
COCOmag___とか言いつつ、何年後かには実現していたりするかもしれませんよね(笑)。
 
 
寺田さん___いやぁ、さすがにそれは難しいと思います(笑)。そんな妄想はさておきですけど、さっきも言った「服に込める思い」ということについては、ここ最近あらためてよく考えるようになっているんです。

子供って成長が早いし、子供服はそれに合わせて買い換えないといけないから、どうしても消耗品的な捉え方をされるのは仕方がないですよね。それに、今の時代は子供服だけでも色んな選択肢があって、好みや予算に合わせてそれなりに満足できるものが手に入りやすいですし。

でも、そうだからこそ、「作り方」や「売り方」といった仕組みだけで考えた服を作るのではなく、どんなシーンで、どんな気持ちで着てもらいたいのかという「作り手の思い」を込めた服を作ることが、これからもっと大事になるんじゃないかと思うんです。私がそうだったように、服を着ることや選ぶことはとても楽しいことだと一人でも多くの子供たちに知ってほしいし、そんな子供の姿を見てママやパパも何かを感じてくれたら、またそこから色んな「思い」が広がるんじゃないかって。

Go to Hollywoodがそんなきっかけになってくれたらデザイナーとしてとても嬉しいし、そうなるためにも、このブランドでしか作れない、思いやコダワリを思う存分に詰め込んだアイテムをこれからも送り出して、大人から子供たちへその思いがバトンタッチされるような関係を作っていきたいですね。

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(取材・文/COCOmag編集部・柳原)

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