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【INTERVIEW】キッズセレクトショップ[Peeka-Booyah]オーナー・バイヤー 十川俊郎さん_「ショッピングだけではなく、心地良い“時間”や“体験”を提供できる、そんな場所でありたい」

香川県・高松市、港の倉庫街を改装した建物にカフェや雑貨店、ブックッストアなど高感度なショップが集まる商業施設・北浜alley(きたはまアリー)の中に、一軒の子供服セレクトショップ「Peeka-Booyah(ピーカブーヤ)」があります。

インポートブランドを中心に、色とりどりのアイテムを取り揃えるPeeka-Booyahは、地元の香川県はもちろん、四国エリアや瀬戸内海を挟んだ中国・近畿エリアからもファンが足を運ぶ人気の子供服セレクトショップ。

そして、ブログやSNSで発信される個性的で目をひく色使いのコーディネート提案や、人気ブランドとのイベントなど、ほかにはない世界観を持つショップとして注目を集めている存在でもあります。

そんな「Peeka-Booyah」のオーナーであり、すべてのバイイングもこなす十川さんに、今回インタビュー。お店がオープンするまでのことや、アイテムのセレクトについて、普段心がけていらっしゃることなど、いろんなお話を聞いてきました。
 
 
 

『いろんな巡り合わせが重なってオープンした、子供とファッションを絡めたセレクトショップ』

 
COCOmag___まずはオープン12周年、おめでとうございます! 12周年記念のワークショップイベントでは、minä perhonen(ミナ ペルホネン)、cokitica(コキチカ)といった世界観のあるブランドとのワークショップイベントを開催されて盛況だったとか。
 
 
Peeka-Booyah 十川さん(以下、十川さん)___はい、おかげ様でどちらのワークショップもたくさんの方にご参加いただきました。

大人対象だった『ミナ ペルホネン ボーロ時計ワークショップ』はこちらがビックリするぐらいの力作が出来上がったり、『コキチカとつくろう☆魔法のCROWN』ワークショップは親子で楽しそうに王冠帽子を作られていたりして。
 
 
COCOmag___私が初めてPeeka-Booyahさんにおじゃましたのが確か7年ほど前、それから8周年イベント10周年イベントと節目のイベントの際にもおじゃましてはいたのですが、こうやってお時間いただいてお話をお聞きするのは、実は初めてです(笑)。あらためてですが、よろしくお願いします。
 
 
十川さん___そう言われれば、そうですね。こちらこそ、よろしくお願いします(笑)。
 
 
COCOmag___十川さんがPeeka-Booyahをオープンしたのは、2004年の9月とのことですが、それまでずっとお店をやりたい、子供服ショップをやりたい、と夢を描いていたんですか?
 
 
十川さん___いえいえ、お店を開いたのも、そこで子供服を取り扱うことになったのも、実はいろんな巡り合わせが重なって形になったような感じなんです。
 
 
COCOmag___巡り合わせ、と言うと?
 
 
十川さん___そもそもの話をすると、私が10代の頃にまで遡るんですけど…地元の高松市で高校を卒業した後、ニューヨークに5年半ほど留学していて。

その間、日本のセレクトショップの手伝いで現地バイヤーとして商品買い付けをして、お小遣いを稼いでいたんです。
 
 
COCOmag___じゃあ、海外での買い付けは、留学当時にすでに経験ずみだったんですね。
 
 
十川さん___そうですね、日本では売っていないレアなスニーカーを買い付けたりしていましたね。

やがて5年半経って、高松市に帰ってきたのが北浜alleyのオープン前の時期だったんですけど、日本での仕事もまだ特に決めていなかったので、北浜alleyの運営事務所に自分を売り込みにいったんです。

北浜alley自体がニューヨークを意識した施設だということもあったし、自分としてもニューヨークでのバイイングの経験があるし、「何かお手伝いできることがあるんじゃないか」と。
 
 
COCOmag___それが何故か結果的に、子供服ショップを開くことになった、と(笑)。
 
 
十川さん___ええ(笑)、北浜alleyにはいろんなショップが入店するけれど、子供に関わるショップがない、良かったら自分でやってみないか?と運営事務所の方から逆に提案されて。思ってもみなかった話で少し悩んだんですけど、逆にとても面白いと思えたんですよね。

高校を卒業した後、いろんな選択肢の中から留学を選んだのは、それまでとは違う環境に自分の身を置きたかったからなんです。そこからの5年半と、高松市に帰ってきてお店を開くということは全く違うことのように見えるけれど、なんと言うか、逆にとても自分らしい選択のように思えて。
 
 
COCOmag___何でしょう、周りとは違うことを続けるということが、楽しいと思えたんでしょうか?
 
 
十川さん___そうですね、自分はまた周りとは違う環境を選ぶんだというように思えてきて、少し楽しくなったのかもしれません。それに、「子供とファッションを絡めたい」という考えがそれまでにも頭のどこかにあったので、北浜alleyの中で子供服のお店を開くことを決断しました。

もちろん、周りの人にも相談はしたんですけど、その時点で自分の気持ちはほぼ固まっていて(笑)。そこから大急ぎでいろんな手配を進めながら、ニューヨークに渡ってバイイングもして、約1ヶ月後にはオープン日を迎えていました。
 
 
COCOmag___あの、こんな言い方はちょっとアレなんですけど…1ヶ月でオープンできるものなんでしょうか、お店って?(笑)
 
 
十川さん___今から思えば、思い切った感じですよね。当時はまだ24歳でしたし、子供服についての知識もほぼ無い状態で、ニューヨーク行きの飛行機の中で現地の子供服関係のショップを調べたりしていましたから(笑)。

でもまあ、初めのお店は今よりも狭かったので、それでも何とかなったというところはあります。子供服だけではなくて、大人用のスニーカーなんかも並べていましたし。
 
 
COCOmag___その時から、Peeka-Booyahのショップとしてのコンセプトというか、商品をセレクトする時の方針は決まっていたんですか?
 
 
十川さん___オープン当初は、周りの人が持っていないもの、皆が驚くようなデザインやレアなもの、そしてお客様に「こんな世界もあるのか!」と思ってもらえるもの、そんなものを集める意識で商品をバイイングしていました。

先ほどお話ししたように急に決まった話だったので、子供服のブランドとかジャンルに左右されることもなく、あくまで自分の世界観や感性で良いと思うものをセレクトしていましたね。

それから12年経ちましたけど、セレクトの時に気を配っている部分は基本的に変わっていないと思います。シルエットとか色づかいとか素材感とか、どこか自分の直感で「あっ」と思えるものを選ぶこと、そして作家性というか、デザイナーや作っている人たちの個性が透けて見えてくるものを選ぶことを、今でも基本にしています。

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Peeka-Booyah店内の様子。店頭に並ぶアイテムはもちろん、アーティストが手掛けた壁のイラストなど、カラフルで楽しい雰囲気がいっぱい。店内奥の小さな小屋のような部分は、なんとお着替えスペース(!)。
 
 
 

『子供服は、親と子の間に“思い出”を与えてくれるものだと感じるようになりました』

 
COCOmag___ちょっとビックリな(笑)エピソードのオープンからの12年間、基本的なお店のコンセプトは変わらないということですが、例えばお店の運営についての考えとか、周りの環境とか、変化してきたものが無いわけでは無いですよね?
 
 
十川さん___そうですね、初めのお店が手狭になってきて2009年に今の場所に移転しましたし、個人的にはその間に結婚して、子供も二人生まれてと、とても大きな環境の変化がありました。

それに合わせて、自分の世界観や価値観も、もちろん変化したわけで…さっき、自分の世界観や感性でお店の商品をセレクトしていると言いましたけれど、その「自分の世界観や感性」は、そんな環境の変化に合わせて大きく変わったように思います。
 
 
COCOmag___それは具体的に言うと?
 
 
十川さん___子供服について言うと、自分の感性に響く部分がより深くなったような感じ、と言うんでしょうか。

例えば、素材感も自分の手で触った感触だけではなくて、実際に子供はどう感じるのかな?と考えたり、デザインの良さと同時に子供が動きやすい形になっているのかを考えたり。

以前は考えていなかった訳では無いんですけど、表面的なデザインや品質表示としての素材だけではなく、子供にとってより良いものって何なのか、子供たちが心地良く過ごしながらオシャレもできるものって何なのか、をより深く考えるようになりましたね。
 
 
COCOmag___十川さんの中に、「親としての目線」が加わってきた感じですね?
 
 
十川さん___そうですね、お客様の多くを占める親御さんたちと同じ目線に立てたことで、シチュエーションや用途に合わせての提案も以前より身近にできるようになったと思うし、子供たちが実際に身に付けての感想やリアクションも、共有しやすくなったと感じます。
 
 
COCOmag___それは子供服を取り扱うお仕事をしている上では、大切なことですよね。
 
 
十川さん___それともうひとつ、自分が親になってから、子供と一緒に過ごす時間の楽しさや大切さ、幸せをとても強く感じるようになったんです。お出かけやイベントはもちろんですけど、もっと日常の何気ないこと、例えば自分が歯を磨いている傍に子供がいるとか、そんなことにも。

それと同時に、子供服はそんな幸せな瞬間に立ち会うことができるものなんだと実感するようになりましたね。「お出かけの時は綺麗なワンピースを着ていたな」とか、「あのTシャツはお気に入りだったな」とか、親はもちろんだし、子供自身が思い出のシーンと一緒にその時に着ていた服を思い出してくれることも多いんじゃないかと。
 
 
COCOmag___風景とか音楽とか食べ物とかと一緒に、その時にオシャレして着た服も思い出の一部になる、という訳ですね。
 
 
十川さん___ええ、子供服はそんな「思い出」を親にも子供にも与えてくれるものだとより深く感じるようになったのは、自分にも子供ができたからこそだと思います。
 
 
COCOmag___そう考えると、十川さんご自身の環境や心境の変化に伴って、Peeka-Booyahというお店も一緒に成熟してきたと言えるのかもしれないですね。
 
 
十川さん___そうだと良いのですが(笑)。でもそれは私だけのことではなくて、一緒に働いているスタッフや手を貸してくれる方がいること、足を運んでくださるお客様に恵まれていること、そんな全てがうまく繋がってくれているからこそだと思います。
 
 
 

『“子供と暮らすことの楽しさや幸せ”を、このお店であらためて感じて欲しい』

 
COCOmag___そんな変化を踏まえつつお聞きしたいのが、お客様との距離感のことです。お店のブログをよく拝見しているのですが、お客様やそのお子さんとの距離感が、とても親密に感じるんです。

お店の中で遊んでいる子供たちの何気ないところを撮影していたり、時には十川さんがお客様のお子さん、特に小さいお子さんを抱っこしていたりして(笑)。

そんな、お客様の来店記念の撮影という意味合いだけじゃない画像を見ていると、来店された方が店内でリラックスして過ごしている様子が目に浮かぶのですが。

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Peeka-Booyahのショップブログより。店内で過ごす子供たちのでリラックスした表情、そしてそのコーディネトからも、子供たちがのノビノビとオシャレを楽しんでいる様子が伝わってきます。
 
 
十川さん___抱っこの画像は、単に私が小さい子が好きでよく抱っこさせてもらっているからなんですけどね(笑)。

さっき言ったように、自分も親になったという部分ではお客様との距離感は近くなったと思うんですけど、それはあくまでも子供に対する目線のお話で、お店とお客様という関係性は、また別の距離感なんだと考えているんです。
 
 
COCOmag___何か具体的に心掛けていることってあるんですか? 接客の時に、お客様との距離について。
 
 
十川さん___「接客」とかという言葉にすると、ちょっと堅苦しくなってしまうんですけど…。

お店をやっていると、日々いろんな方がお見えになるんですね。目的のものがあって来店される方、ふらっと立ち寄ってくださる方、あとお店がある北浜alleyが観光スポット的な要素もあるので他府県からお越しになった方、といったふうに。

そんないろんな方々がいつ来られても、心地よく店内で過ごしていただけて、心地いい状態で店内の商品を見てもらえるように…ということには、とても気を配っていますね。

例えば、ママとお子さんでご来店された場合、スタッフの手が空いていればお子さんを預かってこちらで遊んでいる間に、ママにゆっくりと店内を見てもらうようにするとか。ほんの少しの時間でもお子さんが手を離れれば、ママも気兼ねなくショピングできると思うんですよ。
 
 
COCOmag___不安材料というと大げさかもしれないですけど、「子供が何かイタズラでもしないか」なんて気にかかっている部分を無くしてあげる感じですよね。
 
 
十川さん___ええ、子育てしているといろんなモヤモヤとか、時にはイライラとか、そんな気持ちになることも多いと思うんですけど、それが一瞬でも無くなれば、ママも心地よく過ごしてもらえるんじゃないかと。

あと、お客様に提案する時に必要な情報は、なるべくお聞きするようにしていますね。例えば出産祝いを買いに来られた方なら、プレゼントするお相手のご出産は何月頃か、そのお子さんにご兄弟がいるのか、いればその年の差はどれくらいか、とか。
 
 
COCOmag___かなり細かな情報も聞き出すんですね。
 
 
十川さん___決して、根掘り葉掘り、ではないですけどね(笑)。

赤ちゃんの成長は早いから時期を間違ったものだと使ってもらえないし、初めてのご出産ならこれがあれば助かるというものをチョイスできる、歳の近い兄弟がいればお下がりのものがあるかもしれない…といろんな情報に基づいて、店内からベストなものを選ぶんです。

もう何なら、選んだ商品それぞれの作りの良さとか素材の良さとか、商品説明で私やスタッフが喋った一字一句をそのままその方にお伝えください、くらいの気持ちで。
 
 
COCOmag___そこまでしてもらえれば、プレゼントされる人も嬉しくなりますよね。
 
 
十川さん___さっきも言った「子供と暮らすことの楽しさ、幸せ」を、このお店であらためて感じてもらいたいんですよね。来店された方なら、子供と一緒に買い物したこととか、子供のために色々悩んで買い物したこととか。プレゼントを受け取られた方なら、あの戴き物の服をよく着せていたな、とか。
 
 
COCOmag___Peeka-Booyahで過ごした時間や、ここで手に入れたもの、このお店から旅立ったものが、「家族の思い出の一部」になるわけですよね。
 
 
十川さん___そうであるように、と思いますね。そういう意味では、お客様の時間、ご家族の時間の一部をここで使っていただくという、とても責任のある仕事をやっているんだなぁ…とあらためて思います。
 
 
 

『商品を売るだけではなく、心地良い“時間”や“体験”を提供できる場所でありたい』

 
COCOmag___いろいろお話をお聞きしていると、お店の魅力というのは取り扱っている商品はもちろんですけど、それ以上にその中の「人」なんだなあということをあらためて感じます。十川さんの考えや個性=Peeka-Booyah、といった印象で。

店頭やブログで紹介されているコーディネートやアイテムの画像も、十川さんが手掛けてらっしゃるんですよね?
 
 
十川さん___いえいえ、店内のデコレーションとかコーディネートは、スタッフと一緒に考えたり、時には任せることも多いんですよ。バイイングは私ですが、お店はスタッフのみんなと一緒に運営しているつもりなので、決して自分だけでどうこう、ではないんです。

何かのマニュアルに従った運営や接客をしているのではないので、その都度頭を働かせないといけないし、スタッフみんなでそれを共有するのも簡単ではないんですけど、そんな積み重ねがお客様やその向こうにいる人に響くはずだし、響けばまたここに来ていただけるんじゃないかと思っています。

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Peeka-Booyahのショップブログより。取り扱いブランドやアイテムの良さもさることながら、それを組み合わせたコーディネート提案の新鮮さと大胆さも、Peeka-Booyahの個性のひとつ。
 
 
COCOmag___では最後に、今後はPeeka-Booyahをどんなお店にしていきたいと考えていますか?
 
 
十川さん___やっぱり、「来ていただいた方の思い出に残るショップ」ですね。そうなるためには、サービスの質をもっともっと上げて、来ていただいた方の満足度を上げていかなければ…と考えています。

それにプラスして、服のことはもちろんだけど、家族や子育てにまつわる情報を共有したり発信したりする場所になれば、極端な話それを目的に来ていただけるようになってもいいのかもしれませんよね。

12年間お店をやってきて、「長くお店をやっていると良いことがたくさんあるなぁ」と本当に感じるようになったんです。お客様といろんな情報を交換できるし、そのお子さんを通じていろんな個性や感性に触れることもできる、そしてお客様同士の出会いが生まれたりすることも。

私が感じているそんな「良いこと」を、お客様にはもっともっと感じていただきたいし、Peeka-Booyahというお店は商品を売るだけではなく、そんな良い「時間」や「体験」を提供できる場所でありたいと思いますね。

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(取材・文/COCOmag編集部・柳原)

●Peeka-Booyah
香川県高松市北浜町4-10 北浜アリー
tel.087-822-8512
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