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【INTERVIEW】キッズセレクトWebショップ[CHATOY]オーナー・バイヤー 宮嶋陽子さん_「ほかには真似できない自分だけのセレクトを、自信を持って提案しています」

インポートキッズブランドを中心に、雑貨、玩具などバラエティ豊か、でもどこかにこだわりとセンスを感じさせる、そんなセレクトで人気を集めているキッズセレクトWebショップ[CHATOY](チャットイー)

Webショップの運営だけではなく、自らが主催するマーケットイベントなどを積極的に開催するなど、その独自の展開は国内はもちろん、海外のキッズファッション業界からも注目されていて、この6月にはイタリア・フィレンツェで開催された国際的なキッズファッションの総合展示会「PITTI IMMAGINE BIMBO」(ピッティ・イマージネ・ビンボ)の運営事務局から、日本からたった2名のVIPバイヤーの内の1名として招待されるまでに。

そんな[CHATOY]のオーナー・バイヤーである宮嶋陽子さんに、今回COCOmag編集部がインタビュー。その独自のセンスや、ショップ&イベントの展開について、お話をうかがってきました。

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★『どんな時でも、子供服でオシャレすることを必要としている方がいる。それなら頑張って続けてみよう、と思えた』

 
COCOmag___そもそも、Webショップを始めたのはどんなきっかけだったんですか?
 
 
[CHATOY]宮嶋さん(以下、宮嶋さん)___もともと、自分の子供たちに着せたいけどまだ日本で取り扱いがない、そんな海外のキッズブランドを、海外のWebショップを利用して取り寄せていたんです。日本で北欧キッズブランドのブームが起こる少し前だから、10年ちょっと前くらいですね。

当然レアなアイテムだから、周りのママも「それどこで買ったの?」「私も欲しい!」みたいな反応で、私がママ友達の分も一緒にオーダーしたり、余分に頼んだものを譲ってあげたりもして。

そんなことを繰り返しているうちに、「これって、うまくいけばビジネスになるんじゃないかしら?」と思ってしまったという…ほんと、シンプルというか、素人的というか(笑)、そんなきっかけだったんです。
 
 
COCOmag___そこからは、すぐにWebショップをオープンされて?
 
 
宮嶋さん___そうですね、実はもともと大学に通いながらWスクールでデザインを学んで、その後はデザイン事務所に勤めたり、Webデザイナー・ディレクターとして仕事をしたりという経験もあったので、ショップサイト自体は一週間くらいで形にすることができて。

ただ、初めは品揃えも少なかったので、数ヶ月はプレオープン的な運営でした。品揃えもそこそこ充実して、正式にオープンしたのは2011年の1月1日です。
 
 
COCOmag___元日に!(笑) セールのシーズンでママたちがネット上で子供服を探している時期ではありますけど、新規のショップのオープン日としてはちょっと微妙なタイミングですよね(笑)。
 
 
宮嶋さん___ええ、今から思えば(笑)。でもラッキーというか、オープンの時に周りに助けられた面もありましたね。

海外のサイトで子供服を取り寄せていた頃に、個人でブログを運営していたんです。そのブログの中で「こんな海外ブランドの子供服を買ったよ」なんて記事も掲載していて、見てくれている方も、そこそこいらっしゃったりして。

その方たちにCHATOYの初めのお客様になっていただけた、ということはありました。
 
 
COCOmag___ただ、2011年というとあの震災があった年ですよね?
 
 
宮嶋さん___そうなんです。オープン直後にあの出来事があって、世間的にも個人的にも、いろんなものが停滞した雰囲気で…。実は CHATOY も、あの時期に一旦クローズしたんです。
 
 
COCOmag___オープンして数ヶ月で、まさにこれからというタイミングですよね、それって。
 
 
宮嶋さん___そうでしたね。ただ手違いというか、ショップサイトそのものをクローズしたつもりが、一部の商品ページはショッピングできる状態のままになってしまっていたんですね。

そして、その商品ページをブランド名の検索か何かで見つけた方が、そのまま商品をオーダーしてくださったんです。

そのオーダーを見て、「こんな時期でも、子供服でオシャレすることを必要としている方がいるんだ。それならやっぱり、頑張って続けてみよう」と思い直して…その時にオーダーをいただいたことで、再スタートを切れた感じでした。
 
 
COCOmag___そんな出来事があったんですね…。それから約5年が経過して、ラインナップもいろいろと変化してきていますよね?
 
 
宮嶋さん___そうですね、ショップを始めた頃は国内ブランドの取り扱いも幾つかありましたが、徐々にそのバランスが変化してきて、今はインポートのキッズとベビー、そしてクリエイターのアイテムといった品揃えです。
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([CHATOY]ショップサイトのトップページ)
 
 
COCOmag___そんな品揃えを見ていて感じるのは、明確なコンセプトのショップだなということです。アレもコレも、売れそうなら何でもという萬屋(よろずや)的な品揃えではなく、けっこう絞り込んだセレクトをしてらっしゃって。
 
 
宮嶋さん___そう言っていただけるのは、素直にありがたいです(笑)。やっぱりセレクトショップを運営する以上、他にはない CHATOY だけの個性やウリを常に意識しているので。

いろんな展示会に足を運びますけど、アイテムを見てどのブランドなのかが分かる、そんなデザインや素材使い、テキスタイルのアイテムを意識してセレクトしているので、それが結果的に CHATOY の個性になっているのかな、と思っています。
 
 
COCOmag___でも逆に、個性の強いものが集まりすぎてまとめきれない、なんてことになってしまったりはしないんですか?
 
 
宮嶋さん___もちろん、そうならないように全体のバランスは考えますよ。とは言いつつ、セレクトの最後の決め手は、私のファッション好きの“血”がたぎるかどうかだったりするのですが(笑)。
 
 
COCOmag___“血”って(笑)。
 
 
宮嶋さん___私、小さい頃からファッションが本当に好きで、子供なのに通学用、習い事用、友達と遊ぶ時用って同じ1日の中で何回もコーディネートを着替えて周りから呆れられていましたし、独身の頃はファッション方面の衝動買いが多くて貯金ができなかったタイプなんです。

そうやって過ごしてきた中で培われたものとうか、やはり“血”というか(笑)。
 
 
COCOmag___ファッションに対する熱い“血”が、私を突き動かす。みたいな(笑)。
 
 
宮嶋さん___ええ(笑)。ドキドキ・ワクワクするものを見つけた時の「これだ!」っていう気持ちやテンションがセレクトにも現れているし、「この高揚感をお客様にも!」ってなっているみたいです。
 
 
COCOmag___肩書きはオーナー・バイヤーではあるけれど、目線はユーザー的というか、ファション好きな女性の気持ちのままなんですね、ある意味。
 
 
宮嶋さん___はい、まさに(笑)。ショップの品揃えはインポートのキッズとベビー、クリエイターズアイテムの組み合わせですけど、全体のコンセプトとしては、ファッション好きなママに「これだ!」って思ってもらえるような、「自分のスタイルを持った親子の“探しもの”が見つかるショップ」ということを意識していますね。
 
 
 

★『そこでしか見られない品揃えや作家・ブランド、そんなイベントの個性や空気感を大事にしていきたい』

 
COCOmag___『親子の“探しもの”が見つかる』というフレーズに関連してお聞きしたいのは、積極的に開催されているCHATOY主催のイベントのことです。

Webショップがリアルイベントを開催するのがまだ珍しかった時期から、期間限定ショップなどを積極的に開催されていますよね?
 
 
宮嶋さん___そうですね、初めてイベントに出店したのが2012年の夏、地元のクリエイターが集まるイベントにショップとして出店したものでした。

その後、マルシェイベントに出店したりしているうちにecute立川さん、調布PARCOさん、吉祥寺PARCOさん、伊勢丹立川店さん、mAAchエキュート神田万世橋さんといった施設の催事担当の方に声を掛けていただくようになって。
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(これまでに開催された[CHATOY]のPOPUPSHOPイベントの様子)
 
 
COCOmag___宮嶋さんからではなく、施設側からのアプローチが続いたという?
 
 
宮嶋さん___ええ、ありがたいことに。もちろん、ただ受け身というわけではなくて、「せっかく声を掛けていただいたんだから」という気持ちでいろいろと工夫しながら毎回目標をクリアしてこれたということもありますけど、ご縁に恵まれて、どんどん回数を重ねてきた感じですね。
 
 
COCOmag___その中でも、CHATOY主催イベントの「Instars(インスターズ)」は注目を集めていますよね。

SNSを主なフィールドにして活動しているクリエイター・作家は今ではたくさんいらっしゃいますけど、そこにスポットを当てたのは、ひょっとしたら今流行りのハンドメイドマーケットのアプリやショッピングサービスより少し早かったんじゃないでしょうか?
 

【Instars】(インスターズ)
「-いいね!からつながるマーケット。SNSのスター作家の展示会-」がコンセプトの、CHATOY主催イベント。Instagram(インスタグラム)を主な活動の場とする人気作家を多数招き、普段はスマホの画面でしか確かめられなかった作品を一堂に集めたマーケットイベントとして開催。過去2回の開催は、いずれも入場者多数で売り切れアイテム・作家も続出しました。
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「Instars」特設ページ

 
 
宮嶋さん___少し早いか、ほぼ同時か…どうなんでしょう(笑)。 実は Instars はずっと温めていた企画というよりも、むしろイベントを重ねているうちに閃いたというか、気づいたというか。

何回目かのイベントを開催している時、店頭へ投入する目玉商品の情報を、SNSのメッセンジャーやメールマガジンで限定告知するのと同時に、CHATOYのInstagramアカウントでもその一部を告知したんです。「限られた方へのとっておきの情報」的な気持ちで。
 
 
COCOmag___広く知らせるというよりは、あえて範囲を絞り込むような感じですね。
 
 
宮嶋さん___すると翌日、開店と同時にお客様が売り場にたくさん来られて、告知していた目玉商品はどこにあるの? まだサイズは残ってる? と、予想以上の反響があって。

どこでその情報を見られたのかお客様に聞いてみたら、自分が思っていた以上にInstagramユーザーの方が多くて、さらにInstagram内のDM機能でママ友達と情報をシェアしている方がとても多かったんです。
 
 
COCOmag___Instagram内の知り合い同士で、ある意味クローズドの状態で情報交換していたわけですよね。SNSはいろんな情報をオープンにシェアする場だから、使い方としては相反しているのかもしれないですけど(笑)。
 
 
宮嶋さん___確かに(笑)。でも、このInstagramユーザーの間で情報が伝わる時のスピード感とか熱量はすごいと素直に感心して、「この感覚をイベントにできないのかな? まだどこもやってないよね?」と考え始めて…。

そんなタイミングで吉祥寺パルコさんから「うちでイベントをしてみない?」というお誘いがあって、「これだ!」と感じてすぐにイベント開催の約束をし、スケジュールを逆算して形にしていった…という流れなんです、実は(笑)。
 
 
COCOmag___先に開催が決まったという(笑)。
 
 
宮嶋さん___ええ(笑)。そこから、以前から知り合いでもあったハンドメイド作家のゆれるモビールさん、キッズブランドのnunuformeさんに声をかけて、私を含めた3人で運営チームを作ったんです。

そしてあらためてInstagramでいろいろと情報を集めて、すでに人気の作家さんはもちろん、とにかくステキな作品を作っている人、若くて感覚が優れている人、という感じでいろんな作家さんに声を掛けていって。

初回は2015年3月に吉祥寺パルコで11日間、2回目は2016年6月に代官山・SodaCCoで週末の2日間、それぞれ30組の作家さんに出店していただきました。
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過去の「Instars」開催時の会場の様子
 
 
COCOmag___InstagramやWebショップで見ていた作家アイテムを手にとって購入できる、ひょっとしたら作家さんにも会えるかもしれない、ファンなら「絶対行く!」っていう気持ちになるリアルイベントですよね。しかも開催するごとに、お客さんの数も増えているとか。
 
 
宮嶋さん___本当にありがたいことに。でもそれは、作家さんたちや、その作品が持つ力があってのことですね。

Instars を企画して、このイベントにはどんな作家さんたちに参加してもらいたいのか?と考えた時に思ったのは、「商品と作家、両方を信じられる。そんな方たちに出ていただきたいな」ということだったんです。

周りに流されずに自分が作りたいものを作っていたり、世界観がしっかりしていたり、そんな作家さんの作品はやっぱり説得力があるし、イベントの運営側としても自信を持って並べられますから。
 
 
COCOmag___それって、ショップに並べるアイテムをセレクトする時と同じような感覚ですよね?
 
 
宮嶋さん___ある意味、そうなのかも。 Instars にはすでに凄いフォロワー数の作家さんもいらっしゃれば、まだ駆け出し的な方もいらっしゃいますけど、「この人の作品なら自信を持ってオススメできる」っていう感覚は、「まだ日本では無名だけど、とてもいい海外ブランドだから CHATOY でプッシュしよう!」っていう感覚と似ているのかもしれないですね。
 
 
COCOmag___この Instars は今後も定期的に開催していくんですか?
 
 
宮嶋さん___まだ次回の開催は未定ですし、頻繁に開催できるものではないんですが、定期的なイベントにしていきたいですね。

お客様に喜んでもらえるリアルイベントなのと同時に、作家さん自身もお客様が作品を買っていかれるのをリアルに目にして刺激を受けていたりして、双方にメリットがあるイベントだと感じているので。
 
 
COCOmag___将来的には「『Instars』に出れば作家として一人前」みたいになるかもしれないですよね(笑)。
 
 
宮嶋さん___いやいや、そんなことは..(笑)。でも、やるからには Instars でしか見ることができない作家さんだったり、 Instars ならではの品揃えだったり、そんなイベントの個性や空気感は大事にしていきたいと思います。
 
 
 

★『自分が得意なのは、ほかの人には真似できない、“自分らしいまとめ方”なんです』

 
COCOmag___こうやってショップやイベントのお話をうかがっていると、セレクト力というか、企画力というか、宮嶋さんの中には、ジャッジするときの揺るがない何かがあるような印象です。
 
 
宮嶋さん___はぁー…、どうなんでしょう? そうであれば、とは思いますけど(笑)。

でも、今日こうやっていろいろとお話しているうちに自分でも思ったのは、私は「まとめ役」というか、「自分なりにまとめること」が得意なんだなぁ…っていうことですね。
 
 
COCOmag___「まとめ役」…というと?
 
 
宮嶋さん___例えば、雑貨とかインテリアとか、もちろんファッションもですけど、あらゆる分野には既にスペシャリストと呼ばれる方がたくさんいらっしゃいますよね? そんな方々や専門企業に私が真正面から挑んでも、とうてい敵わないと思うんです。

じゃあ、そんな中で自分ならできることは? 自分の得意なことは? って考えていくと、それは「ほかの人には真似できない、“自分らしいまとめ方”」なんだと。
 
 
COCOmag___セレクト力というよりも、むしろ「編集力」というほうが近いのかもしれないですね、それって。
 
 
宮嶋さん___今までにいろいろ見聞きしてきたこととか、最近気になっていることとか、そんないろいろなことを、どこか無意識に結びつけて、まとめて、形にしているような気がします。ショップも、イベントも。

そして、できる限りそれを楽しいものにしようとしているような気も(笑)。
 
 
COCOmag___それって、ある意味セレクトショップとしての基本の部分ですよね。もしくは、人に何かを伝える仕事の基本の部分というか。

何かを見せる、伝えるという時に自分の中に自信がないと言葉やビジュアルの説得力が薄くなるのは、編集者としてもすごくよく分かります。
 
 
宮嶋さん___とはいえ、ショップもイベントもビジネスとして、数字とにらめっこすることもたくさんあるんですけど(笑)。

でもまずは「自分が面白がれる状態でないと」という気持ちが常にあるし、自分がワクワクしないものは周りにもオススメできないな…と思っちゃうんですよね。
 
 
COCOmag___確かに、「自分がワクワクする」っていう気持ちは大事ですよね。

今はアパレル全体が低調だという話をよく耳にしますけど、停滞している状況の中だと、そんな自信のある提案や、自分自身が楽しんでいる様子が伝わってくるような提案は注目を集めるし、次の動きを生むきっかけになるはずですし。
 
 
宮嶋さん___正直なところ、アパレルや子供を取り巻く状況を考えると、子供服メインのショップを運営していくことに不安を感じる時もあるんです。

でもそんな時だからこそ、逆に「私はこれがとってもステキだと思うから、みんな見てみて!」って自信を持ってお客様にお見せしたり、声を掛けたりすることが大切なのかなって。

そして、そんなバイヤーとショップが少しずつでも増えていけば、お客様たちの気持ちもまた盛り上がってくれるんじゃないかな? とも思います。

ですから、これからもそんな姿勢をキープしつつ、ショップやイベントはもちろん、今後もし機会があればそのほかのお仕事を通じても、私自身が良いと思ったものを、胸を張ってお客様にお見せして、伝えていきたいですね。「コレいいでしょ? 可愛いでしょ?」って(笑)。

(取材・文/COCOmag編集部・柳原)

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