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デザイナーインタビュー kiko+デザイナー kaz*さん PART.2

 今年1月にパリで開催された国際的な展示会・MAISON & OBJET(メゾン・エ・オブジェ)。でデビュー。そして春の販売スタートからは、日本国内はもとよりヨーロッパを中心とした海外でも大きな反響を呼んでいる、日本発の木のおもちゃブランド・kiko+(キコ)

 そのkiko+を企画しているメーカー・Kukkia(クキア)の社長であり、デザイナーでもあるkaz*(カズ)さんのインタビューPART.2。

 今回は今年デビューしたkiko+のコンセプトや、プロダクトデザインを専門的に学んだわけでもなかった彼女が木のおもちゃに取り組むことになったきっかけ…そんなお話をうかがいます。


COCOmag___前回のお話で、gg*のおもちゃのコンセプトや、そこに込められた思いがよく分かりました。では、今年デビューしたkiko+は、gg*とどんな違いがあるのですか?


kaz*___kiko+は、Kukkiaとしてはふたつめのブランドです。gg*とは違うやり方でおもちゃ作りを進めるために立ち上げました。

例えば、動物たちの足跡を残せる木のサンダル・ashiato(アシアト)は、大阪を拠点に活動するプロダクトデザインチーム・マグネットが考案した下駄のデザインをもとにしているんです。

もともとは布だった鼻緒を、水に濡れても大丈夫なようにビーチサンダルと同じ樹脂素材に変更したり、動物の足跡になる歯の部分は、強度を高めるために接合部分の設計を見直したり。

また塗装についても、gg*の場合はあえて木の地肌が透けて見えるようなかすれ具合にして、親しみやすさや温かさを演出しているのですが、kiko+の場合は木目の良さを活かしつつアクセントに蛍光色を使って、おもちゃとしてはもちろん、プロダクトとしても楽しいもの、印象に残るものを作り出しています。

こんなふうに、社外のデザイナーやクリエーターと積極的にアイデアを出し合い、コラボレーションして、今までのKukkiaにはないものやKukkiaだけではできなかったものを作り出していくブランドがkiko+。「Kukkiaという会社が積極的にコミュニケーションをとることで生まれる、子どもたちのためのコミュニケーションツール」、それがkiko+のアイテムなんです。


COCOmag___新しいおもちゃを作り上げる上で、周囲の人たちと今まで以上ににコミュニケーションを取り、そうやってでき上がった木のおもちゃが、今度は子どもたちと周囲とのコミュニケーションツールになる…それって素晴らしいリンクですよね。


kaz*___ありがとうございます(笑)。


COCOmag___ところで、kiko+の名前にはどんな由来があるのですか?


kaz*___木の「ki」に、子どもの「ko」をあわせて「kiko」、というシンプルなものなんです(笑)。でも、名前の最後に付けた「+」には、実はふたつの意味があって…。

ひとつめの理由は、工場で実際にアイテムを作ってくださる方たちや、デザインでご一緒させていただいた方たち、それからwebなどでkiko+を紹介してくださる方たち、そんな方たちに、いろんなアイデアやパワーを“プラス”してもらえたからこそkiko+が生まれたという感謝の気持ちを込めての「+」。

そしてもうひとつの理由は、kiko+のおもちゃで遊んだ子どもたちが大人になったとき、再びkiko+のおもちゃを手にして子どもたちと遊んでもらえたら、そしてそれが代々引き継がれて家族の思いがプラスされていったら…という願いの意味の「+」なんですよ。


COCOmag___なるほど。おもちゃをコミュニケーションのツールとして考えているところは同じでも、gg*とkiko+では少しずつコンセプトや意味付けが違うわけですね。


kaz*___そう言っても良いかもしれないですね。でも、gg*もkiko+もクオリティや安全性へのコダワリは同じです。kiko+のアイテムは、WWF(注:約100カ国で活動している環境保全団体。パンダのマークでお馴染み)が森林環境を守るために定めた国際的な認証制度・FSC認証をクリアした木材を使用しています。また製品の安全性は[CE EN71]に加えて、kiko+では[ASTM]というアメリカの安全基準もクリアしているんです。


COCOmag___gg*とkiko+、そしてKukkia、それぞれのコンセプトや関連性がよくわかりました。ところで、現在はふたつの木のおもちゃブランドをプロデュースし、そのほかにも木のプロダクトの製品化などに携わってるKukkiaですが、その社長でもあるkaz*さんは、なぜ木のおもちゃを作ることにこだわるようになったのでしょうか? そのきっかけは?


kaz*___学生時代はものを作ることを専門的に学んだわけではありませんでしたし、帰国するまではアパレル関係の仕事に就いていたので、その頃は木のおもちゃについて特別な興味を持っていた訳ではなかったんです(笑)。

でも、帰国後に入社した木のおもちゃの会社での出張で、海外の木のおもちゃの工場を訪れたとき、そこに漂っていた特別な香り…切りたての木材やオガクズが出す新鮮な木の香りを嗅いだ瞬間に、思い出すものがあって…。

小さい頃はあまり体が丈夫ではなかった私は、家で遊ぶことも多かったんです。そんなときは、もともと大工だった祖父が余り木などを切ったり貼ったりして手作りしてくれた木のおもちゃで、よく遊んでいました。

切ったばかりの木が放つ新鮮な香り、木の地肌の触り心地…小さい頃のそんな思い出が、工場に漂っていた木の香りを嗅いだ瞬間にフラッシュバックして。もう、その瞬間に「私が本当にしたいことはコレだ!自分で木のおもちゃを作るんだ!」と気持ちに火がついてしまって(笑)。

幸いなことに、その会社の在職中に製品を作る行程やそれに必要なことを学ぶことができ、一緒にgg*を立ち上げたnov* とも出会い…と、いろんな偶然や必然が重なり合って、gg*、Kukkia、kiko+、とつながってきたように思います。


COCOmag___gg*やkiko+のアイテムに漂っている、包み込むような、どこか優しい印象は、そんなおじいちゃんとの思い出がベースにあるからなのでしょうか?


kaz*___ひょっとしたら、そうなのかもしれませんね(笑)。


COCOmag___そろそろ時間になってしまいました…最後に、これからのkiko+の展開を教えてください。


kaz*___夏から年末に向けて、新しいアイテムが登場する予定です。今は最終調整に入っているので、もう間もなく皆さんにお届けできるはずです(笑)。

そして今年の後半には、ヨーロッパで行われる展示会へ春に引き続き出展します。春の出展時にもヨーロッパでとても良い反応があり、数カ国での販売も決定しているのですが、さらに広い範囲でkiko+の名前を広めていきたいと思います。


COCOmag___kiko+のおもちゃのファンが世界中に広がるのが楽しみです。今日はいろいろと、ありがとうございました。


kaz*___こちらこそ!ありがとうございました!



…以上がkiko+とgg*、そしてKukkiaについてのインタビュー。

インタビューに答えていただいたKukkiaの社長でデザイナーのkaz*さんは、とてもフランク、そして物事をエイッと動かしちゃうパワーを持った女性…という印象の方。そんな人を大きく包み込むような雰囲気は、gg*の親しみを感じさせる色合いやフォルムにそのまま現れているような気がします。

その一方で、Kukkiaのどのアイテムにも共通する、ルールに縛られず子どもたちが自由に遊べるデザインは、子どもたち一人一人の個性を尊重する考え方、つまりチームメンバーそれぞれの得意分野をうまく引き出してアイテムを作り上げるkiko+のスタンスと同じ考え方のような気がするのです。

「子どもたち」という愛すべき大きな存在への優しい目線と、その大きな存在の中に埋もれてしまいがちな子どもの個性を見逃さない目線。分かっているようで忘れてしまいがちな、そんなふたつの目線を合わせ持つデザイン。

Kukkiaが2つのブランドを通じて生み出す木のおもちゃに共通しているのは、そんな2つの優しさがミックスされたデザインなのだと今回のインタビューで感じました。


2回にわたって掲載したkaz*さんのインタビュー、いかがでしたか? おもちゃはもちろん、ブランド名や会社名まで、そこに込められたいろんな意味を知ると、魅力的なおもちゃたちが、また違った見え方になってくるかもしれません。

kiko+のおもちゃは、これからもオシャレに興味があるファミリーが興味をひかれるもの、そして自分たちで楽しむのはもちろん、お友達にも教えてあげたくなるものが登場する予定です。お楽しみに。

(取材・文/COCOmag編集部・柳原)

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