
前編に引き続き、ヴィガさんのインタビュー・後編です。
インタビューに入る前に、ひとつお勉強。
前編の最後に書いたキーワード「サステイナブル」。この意味を辞書で調べると…
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サステイナブル【sustainable】[形容動詞]
持続可能性。持続可能であるさま。
特に、地球環境を保全しつつ持続が可能な産業や開発などについていう。「―な社会作り」
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…とあります。少し表現が難しいですね。これは、
「地球や自然などの環境、そして私たち人間に対して
健全で安全な状態を保ちながら、経済や流通を発展させよう」という考え方。
つまり、今までのものを作っては消費するだけで、どんどん環境を破壊してきた状況を早くやめて、
限りある資源をリサイクルなどで無駄なく活用して、自然環境をこれ以上破壊することなく
経済も発展させていこう、ということ。
この考え方は、環境問題への取り組みでも有名なゴア・元アメリカ副大統領が提唱したとされていて
キャトヴィはその「サステイナブル」に取り組む、世界でも数少ないキッズブランドなのです。
それでは、インタビュー後編。見た目の華やかさだけではない、
キャトヴィのアイテムに込められたポリシーについて話をうかがいました。

ヴィガ___「サステイナブル」。この考え方はキャトヴィにとって、とても大切なものなの。
ココマグ__その「サステイナブル」について、キャトヴィの取り組みを教えてください。
ヴィガ___全世界で使われている農薬のうち、約25%がコットンの栽培に使われているの。
世界中にあるコットンの大規模農場では、そこで働いている人たちが
農薬に直接触れてしまって、健康上でとても悪い影響を受けているし、
その人たちが仕事を終えて帰宅すれば、ハグやキスをしたその家族や
子どもたちにもその影響が及ぶことにもなるの。
さらに、農薬は地下水にも染み込んで、やがて湧き出た水を飲む家族もいるはずよ。
ココマグ__悪影響が連鎖して広がる…特にハグやキスで子どもたちにも、というのは怖いですね。
ヴィガ___キャトヴィをスタートして2年ほどしたときに、このブランドを通じて、
子どもたちの未来のためにできることがあるんじゃないか? と考えるようになったの。
服を作るのに生地はどうしても必要だけど、その原材料の繊維を作る段階から
環境にとってより良い状況を選ぶことで、悪い影響を少なくすることができるはずよ。
農薬を使わないオーガニックコットンを使うことが農薬を減らすことにつながるし、
リサイクル素材を積極的に使うことが資源の消費を少なくすることにもつながるわ。
ココマグ__でも、オーガニックなものやリサイクル素材のものは少し割高な印象もあります。
ヴィガ___デンマークでもオーガニックな素材を使うメーカーは増えているけれど、
確かに普通の商品に比べて値段が高いことが多いのも事実ね。
でもキャトヴィの場合は、そのようなアイテムは高くてもいいとは考えていないの。
毎シーズン、いろんなアイテムの値段を設定するときに考えるのは、
キャトヴィのオーガニックアイテムと他社のオーガニックではないアイテムが、
同じような値段でショップに並ぶようにする、ということ。
そうすれば値段に左右されずに、純粋にデザインやセンスで
サステナイブルな商品を選んでもらえるはずだから。
ココマグ__今はファストファションがブームで“安いのがエライ”的な風潮もありますよね。
そんな中で、子ども服は価格の安いもので構わないという人も多いですし、
ある程度以上の価格の子ども服は贅沢品だと捉えられてしまいがちです。
個人的には断固反対! なのですが(笑)、どう思われますか?
ヴィガ___私も反対かな(笑)。確かに価格が安いものは家計にとっては優しいけれど、
安すぎるものが店頭に並ぶまでには、安くするための手段として、
環境や人間にとって良くないことが行われているはずよ。
学校に行けずに働かされる子どもたちや、大量の農薬、工場からの排水や煙、
人体に悪影響のある染料やプリント…言い出せばキリがないほどね。
もちろん、全ての安いものがそうではないし、高いから安全とも言い切れないけれど。
そして、重要なのはそんな事実をもっと多くの人たちに公開することだし、
皆がそのようなことを知った上で商品を選ぶべきだということね。
ココマグ__リサイクルという考え方も、資源の再利用という意味では良いことだけれど、
その反面でネガティブな部分もありますよね。
先進国からのゴミがいわゆる後進国に持ち込まれ、劣悪な環境でリサイクルされて、
そこでまた環境破壊を生み出しているという現実もあります。
ヴィガ___確かに、そんなリサイクルには賛成で
きないわ。デンマークでも1年間に約
30000トンもの衣料がゴミとして捨て
られて、埋め立てられたり、燃やされ
たりして処理されているの。
それを回収して、デンマーク国内の工
場でリサイクルするプロジェクトを、
キャトヴィとして考えているのよ。
同じ地域、同じ国の中でリサイクルが
完結できれば、消費者はどこでどのよ
うにリサイクルされたものかが分かる
ようになるはずだし、わざわざ廃棄物
を輸出しなくてもいいからコストや燃料もかからないはずよね。
例えばキャトヴィのレインコート(写真上)一着を作るのには、
500mlペットボトル10本分のリサイクルポリエステルが使われているんだけれど、
この素材が優れているのは、何回リサイクルしても素材として劣化しないところなの。
ココマグ__素材として劣化しないということは、つまりこの素材を使う限りは、
新たに石油などの資源を消費しなくてもいいということですね?
ヴィガ___その通り(笑)。
そのほかにも、普通のビニール素材と
は違って完全に分解されて土に還るビ
ニール素材を商品のパッケージに採用
したりもしているのよ(写真の女の
子が持っている風船が、そのビニール
素材を採用した袋)。キャトヴィとし
ては、今後もこんな環境のことを考え
た素材を積極的に使っていきたいと考
えているの。
ココマグ__そんな取り組みがキャトヴィの個性で
もある訳ですね。なんだか、これから
大きくなっていく子どもたちのために、
私たち大人が何かをしていかないと…
という気持ちになります。
ヴィガ___そうね、そんなふうに一人一人がが考えることで、
今の状況も変わっていくのだと思うわ。
ココマグ__そうすることが、子どもたちに対しての私たち大人の責任なのかもしれませんね。
では、そろそろ時間も無くなってきたので…最後に日本にいるキャトヴィのファン、
そしてキッズファッションが大好きなママたちにメッセージを。
ヴィガ___OK。最近のニュースでは、地球環境の悪化が盛んに報じられているけれど、
これは皆が協力していくことで解決できる問題だと思うの。
使っていない部屋の灯りは消す、待機電力をなくすために使っていない
家電のコンセントは抜く、なんていうできることからでいいはずよ。
そして、日本のキッズファッションはいつ見てもとっても魅力的で楽しい!
これからはそんな楽しさに加えて、素材や作り方で地球環境に悪影響を及ぼさない、
そんなキッズファッションが日本にも生まれれば良いと思うし、
必ずそうなると思うわ!
知っているけれど、分かっているけれど、私たちが何となくやり過ごしている問題...
つまり環境とか自然破壊とか、リサイクルとかオーガニックとか。
そんな問題を正面から見据えて、うまくデザインに取り入れて
あんなにキュートでヴィヴィドなアイテムを生み出すヴィガさん。
彼女自身も実際にママであるということが、
未来への危機感を感じざるを得ないという側面もあるはずですが、
何よりもモノ作りをする人間としての責任感が溢れ出ている人なんだなあ…
と今回の取材で強く感じました。
見た目の良さで人を惑わすのではなく、
きちんとメッセージを込めたモノを作って
皆に届けるんだ、という気持ちがとても強い人。
だから、キャトヴィのアイテムには遊び心がいっぱいでもブレがないのです。
なるほど、キャトヴィの魅力をまたひとつ見つけたような気がします。
約10日間の日本滞在中は、日本各地を飛び回っていたというパワフルなヴィガさん。
環境問題やブランド展開について話すときの真摯なまなざしとは裏腹に、
毎日職場までの15kmを自転車通勤しているという彼女の自転車ライフや
彼女の愛車(イタリア製の上級者向けハイグレード自転車!)の
話をするときにはキラキラ楽しそうな表情…そんなキュートな女性でもありました。
というわけで、ヴィガさんのインタビューはこれにてフィニッシュ。
今度キャトヴィのアイテムを手にするときは、
こんなヴィガさんの考えを思い出して、そしてその色や柄やデザインを楽しんでくださいね。
